津次郎

映画の感想+ブログ

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

開き直った感動ポルノ 映画 えんとつ町のプペル (2020年製作の映画)

1.0アニメ解説をするオタキングこと岡田氏のユーチューブ動画を見たことがあります。多くの動画をやっていて、見たのは数本ですが、火垂るの墓についての精密な論説がみごとでした。すぐれたアニメ作品には、すさまじいディティール(細部)があります。 火…

職人の映画づくり 罪の声 (2020年製作の映画)

5.0圧倒的に面白い。ふだんわたしは天才や鬼才などと称されている日本映画・監督をけなしてばっかりだが、祈りの幕が下りる時や本作のような職人の映画を見ると、溜飲がさがる。つくづく日本映画に天才・鬼才は要らない。どこがなぜ面白いかというより映画づ…

ザ・ホワイトタイガー(2021年製作の映画)

3.7インド舞台なので、ボリウッドだと思って見始めた。描写がドライでダイレクトなので、ボリウッド成長したなあ──とか思っていた。 が、インドは製作国のひとつではあるが、映画はボリウッドではない。監督(Ramin Bahrani)の見た目はインドっぽいが、来歴…

隣は何をする人ぞ 隣の影 (2017年製作の映画)

3.3犯罪の報道では、近隣住民が、取材される。そのとき、かならず出てくるのが(その犯人が)挨拶をしたか・しなかったか、である。「きさくに挨拶をしてくれるひとで、(ニュースをきいて)びっくりしている」とか。「たまに会っても、ろくに挨拶もしないよ…

日本進出直前のウンギョン ときめき♡プリンセス婚活記 (2018年製作の映画)

2.4新聞記者に出ている韓国の女優さんが出ていた。サニーや少女は悪魔などしばしば見たが怪しいのシムウンギョンが印象にのこっている。多様な役を演じるけれど、その役の裏側にストイックな気配を感じる女優。──努力家な感じがする。 新聞記者での役はふつ…

明るさという生命力 ラブ&モンスターズ (2020年製作の映画)

3.8冒頭に映画内の世界設定──なぜ、そうなったかの説明がある。ジョークを交えながら、矢継ぎ早に説明するのだが、解りやすく、説得力がある。 わたしはかつてSteamで日本語サポートのない、小難しいリアルタイムストラテジーゲームを買ってしまったことがあ…

彼女(2021年製作の映画)

1.0今(2021/04)は、コロナ禍にあって、困難な時節だが、日本はきほんてきに、平和で豊かな国だ。われわれが虐げられていると言うのはポジションがある人だけの言説だと思っている。不幸がないとは言わない。そんな万象は存在しない。社会派じゃないし、そ…

あのコの夢を見たんです。(2020年製作のドラマ)

3.0事件があって以来、巷間の話題から、きれいに消えてしまったが、まちがいなく、おおぜいの人々がテラスハウスを楽しんでいて、わたしも(恥ずかしながら)テラスハウスが好きだった。 ただし、本編以上に興味を惹かれていたのは「山チャンネル」だった。…

さりげなくいびつ 女王陛下のお気に入り (2018年製作の映画)

4.0ドラマシリーズの「SPEC」のwikiに、こんな記述がある。 『一方、今井舞は同じく『週刊文春』のドラマ記事で「今期ワースト」「全てが『これ、面白いでしょ』の押しつけ」などと批判している。』(ウィキペディア「SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件…

どこへでも飛んでいっちまえよ 欲望の翼 (1990年製作の映画)

3.5BBCが2016年に企画した「21世紀の偉大な映画ベスト100」の2位に花様年華が入っていた。(1位がマルホランドドライブ、3位がゼアウィルビーブラッド)。名画100選のようなモノはよくあるし、たいてい定石に鼻白むだけだが、この選は、2000年以降の縛りに加…

エルファニングの魅力 ティーンスピリット (2018年製作の映画)

2.8個人てきには、どっちかというとダコタである。が、なにしろエルの出演作が目白押しである。またエルか、これもエルか、あれもエルかみたいな、エル供給過多な気配は、正直なところ、ある。ただ、ぜんぶ網羅したわけじゃないが、エルの出演作は、どれもな…

初恋の話 君の名前で僕を呼んで (2017年製作の映画)

3.9わたしは同性愛を差別はしていない(はずです)が、基本的に、男どうしが乳繰り合う映画が、好きではありません。これ、公人が言っちゃうと紛糾するんですが、どうなんでしょうか、この世に、そんな人は少なくない、と思っています。 世が世なので、ゲイ…

胸に迫るリアリティ ルーム (2015年製作の映画)

4.5話題作だが未見だった。VODで見た。 この映画が刺さるのは、状況を弁解していないから──だと思う。おそらく日本映画であれば「わたしたちは、しいたげられた、かわいそうな母子なのです」の情感を強調表現するだろう。この母子が、しいたげられた、 かわ…

狂武蔵(2020年製作の映画)

1.0この映画を見たくはなく、むしろ見るのがイヤだったので、わたしも悪いのですが、コンセプトを見た時点で、つっこみを入れたくなってしまったのです。どんな理由であれ、見た以上、わたしの負けですし、しっかり有料で見たので、そこはご安心下さい。RE:B…

強引な話 九月の恋と出会うまで (2019年製作の映画)

2.4高橋一生というと、いまやひっぱりだこな男優だが、どうも慣れない。個人的に、無名時代の映像作品を見たこともあって、下積みの長かった苦労人なのは知っているのだが、どっか胡散臭い。その理由(の一端)は、起用される役回りが絵に描いたような善人ば…

ワーニング その映画を観るな(2019年製作の映画)

3.0映画中の述懐で「ホラー映画に救われた」という回想が出てくる。それによると彼は「高校時代にイジめられ、先輩に殴られて、まいにち死にたくて、病院通いで学校に行けなかった。ある日テレビでエクソシストを見た。~。目が釘付けになっていて、手が震え…

7つの贈り物(2008年製作の映画)

4.5日本語で言うと「罪滅ぼし」の映画。──だと思う。良心の呵責に囚われ、苛まれ、まったく無縁の困った人を助ける・・・という、冷静にみると、かなり突飛なハナシである。ただ当時見たときも、今見ても、映画として破綻がない。とても巧く贖罪の行程が描か…