津次郎

映画の感想+ブログ

7つの贈り物(2008年製作の映画)

4.5
日本語で言うと「罪滅ぼし」の映画。──だと思う。
良心の呵責に囚われ、苛まれ、まったく無縁の困った人を助ける・・・という、冷静にみると、かなり突飛なハナシである。
ただ当時見たときも、今見ても、映画として破綻がない。
とても巧く贖罪の行程が描かれている。The Pursuit of Happyness(2006)の監督・スタッフがつくっていると知って、なるほどと思った。あのドラマチックな抑揚に満ちた演出が、ここでも如何なく発揮され、姉妹品のような作品に仕上がっている。──と思った。
また、その「ドラマチックな抑揚」を現出させたのはウィルスミスの表情でもあった。正直なところ、すごく好きな俳優ってわけでもないが、The Pursuit of Happynessでも、本作でも、秘めた思い=内的葛藤を、表情にあらわすのが、とても巧かった。

ところで初見のとき思ったのは、外国人らしからぬ「罪滅ぼし」や「自己犠牲」のプロットだった。
つまり、わたしは「罪滅ぼし」や「自己犠牲」が西洋世界では、珍しい行動理念──だと思っていた、のである。
間違いだったと思う。
なぜなら──それならば日本人は「罪滅ぼし」や「自己犠牲」をするのか──といえば、そんな様態は、さらさら無い、からだ。
「罪滅ぼし」や「自己犠牲」が西洋の社会には無いもの──と考えていたのは、わたしの驕り(おごり)だった。深掘りはしないが、日本人であろうとなかろうと、人は基調として私利私欲に生きている。と思う。

ただ、もちろん映画は、かなり特異なハナシではある。荒唐無稽とすら言える。そうそうこんなハナシはないだろう──とは思うが、その特異を感じさせない丁寧な演出力があった。
健康で不自由のない彼を囚われにしたのは交通事故だった。すべてを変えたのは、回想や終盤で描かれる、よそ見運転事故である。ドライバーとして、交通事故の加害者にも被害者にもならないよう、よくよく用心したい。とつくづく思う。
幼馴染み役のダンが良かった。harshな顔立ちのBarry Pepperをプライベートライアンのスナイパー──としていつまでも覚えている。