津次郎

映画の感想+ブログ

あのコの夢を見たんです。(2020年製作のドラマ)

3.0
事件があって以来、巷間の話題から、きれいに消えてしまったが、まちがいなく、おおぜいの人々がテラスハウスを楽しんでいて、わたしも(恥ずかしながら)テラスハウスが好きだった。

ただし、本編以上に興味を惹かれていたのは「山チャンネル」だった。
これは山里亮太氏が、本編で言えなかったこと、言えないようなきわどいディスりをする、YouTube上の動画だった。
本編放映のあとに公開される「山チャンネル」を見るのはかんぜんに「セット」だった。
ハッキリ言って、とても面白かった。

いっぱんに、人がテラスハウスを見ていることを公言しないのは、(仕込まれた)恋愛リアリティショーが低俗とされているから、である。
硬派なイメージを(いちじるしく)損ねるので、男はとくにテラハを見ていることを言わなかった。
その基調の「こっ恥ずかしさ」に加え、事件がおこったことで、テラスハウスを見ていたことは、なおさら披瀝しにくくなった。
したがって事件後は、その視聴を毎週心待ちにしていた人さえ「テラスハウス?ああ、見てなかったから、知らないなあ」みたいな涼しい顔でスルーし始めた──わけである。

しかし、悔しいことに、テラスハウスは面白かった。
個人的には、ストリーミングサービスが提供する、すべての日本のドラマ・映画のなかで、唯一面白いと思えるものがテラスハウスだった。
そして本編以上に「山チャンネル」が面白かった。
テラスハウス本編は、どちらかといえばAwkwardで「ああなんか見てらんない」みたいな状況だらけだが、その狂騒を「山チャンネル」を見ることで、スカッと溜飲することができた。
山里氏のディスりは、天才的だった。

あの「山チャンネル」が、おそらく山里亮太氏の、真骨頂ではないかと思う。いわゆるInsult comedyなのだが、痛快で、ひたすら笑えた。
おそらくご当人も「山チャンネル」での自分が本領だと、ご自覚されていた──のではなかろうか。「山チャンネル」には山里氏十八番の「毒出しノート」も出てきて、出演者たちの行動/言動にたいする嘲罵が連綿と綴られていた。
事件によって、本領発揮の場が失われたことで「毒出しノート」を別のかたちで世に出そうと、ドラマへ翻案したものが本作だと、個人的には思っている。

二三篇見たが、やはり、ドラマという形式に嵌まると「毒」は弱まる。「山チャンネル」の枷のない笑いに比べると、枠内におさめようとしているドラマではあった。と思う。
正直なところ、わたしは出演しているヒロインらに興味はなく、前後にある喫茶店の描写だけ見たかった。そもそも妄想入る前の喫茶店内がいちばん面白かった。また喫茶店のDQNバイトが全ヒロイン中いちばん可愛かった。