津次郎

映画の感想+ブログ

速度と車の魅力 ワイルド・スピード/ジェットブレイク (2020年製作の映画)

ワイルド・スピード/ジェットブレイク (字幕版)

2.6
Fast & Furious。邦題ワイルドスピード。
人気のシリーズだがこじんてきにぜんぜん興味なかったw。
はじめてまともに見た。

展開は大味。むかしながらのカーチェイスとドンパチ。それを考えに考え、ひときわ工夫をこらしている。「ありえねー」と言いたくなる場面だらけだが理屈はぬきで。という感じ。

2020年の3月あたりからコロナによって(ひとが街へ出ないので)せかいじゅうの街がロケに好適な状況を呈した。それによる賜物かどうかは解らないが市中アクション/カーチェイスがかなり大胆につくられていた。

せかいじゅうを忙しなくあっちこっちへ巡る映画で(宇宙へも)、その浮き足感と、ストーリーのとんちき感と、公共物破壊への飄逸と、続き物らしい解らない人には解らない世界観が興醒めさせた。

テネットのカーアクションとこれのをくらべると(良い悪いはともかく)数学者と建具屋みたいな違いがあった。また、長すぎる。この映画は(なんと)145分もある。
ただしタイリースギブソンとリュダクリスに掛け合いは楽しかった。あとシャーリーズセロンがプラスチックの牢に入ってる時も、ステルス機操縦してるときも、ラウンジでお茶してますみたいに涼しげだったんだが、かのじょはナニしてるひとだったんだろうか。

アメリカでは大衆的な娯楽映画がブラッシュアップされることがある。たとえばバットマンを次元の違う高みへ上げたのはダークナイトだった。
要するに、それでも充分にかせげるもの、そのままでも大丈夫なものを、映画通の鑑賞に耐えうるものにする、そのブラッシュアップの転換点がある。
007で言うならカジノロワイヤルやスカイフォール。キングコングにも猿の惑星にもスパイダーマン等々にもその転換点がある。

一方で、ブラッシュアップせず、おなじようなことを続ける娯楽作品もある。
おそらくワイルドスピードは後者ではなかろうか。まさに大衆的な映画だと思う。が、禍にもかかわらず800億円超の世界興行収入、日本だけでも30億円超──なので、何の問題もない。
儲かる映画/儲かった映画は批評がどうであろうと正しい。と思う。

ところで、日本にはアメリカの大衆的な娯楽映画をおバカ映画などと称してけなす奴──たいてい意識高い系の権威的批評家──が、かならずいる。

が、きょうび先進国でクオリティの低い映画を量産しているのは他ならぬ日本だ。

むかしから国柄をあらわす性格の典型がある。
そこではアメリカ人は単純であり日本人は繊細などと定評される。

どうだろう。
アメリカ映画は単純な人がつくっているだろうか。
日本映画は繊細なひとがつくっているだろうか。

日本映画の多くは気取って大衆をないがしろにしている。
とうてい他国の映画をけなせる立脚点じゃない。
日本の観衆がワイルドスピードやアメリカ大衆的な映画を好むのは楽しませてくれる映画が日本にはないからだろう。
──にしても日本の評価は高すぎだけどね。