津次郎

映画の感想+ブログ

Paranormal Activity: Next of Kin パラノーマル・アクティビティ7 (2021年製作の映画)

パラノーマル・アクティビティ 7 (字幕版)

2.8
アメリカ映画のばあい旧タイトルがブラッシュアップされることがあります。
たとえばダークナイト以前のバットマンはスーツアクターがかつやくする娯楽映画──というポジションでしたが、ジョーカーの邪悪やヒーローの苦悩が描かれることによって大人向けの人間ドラマへ昇華しました。これはちょうどマジンガーZのようなロボットアニメがガンダムによって人間ドラマに転換した──みたいな進化だと思います。アメリカ映画にはそのようなドラスティックな進化=ブラッシュアップが期待できます。

よって13金やチャイルドプレイやハロウィン等々ホラー分野でも、旧タイトルの新作が「もしかしたら面白いかもしれない」可能性はおおいにあります。
先般も懐かしいタイトルのスクリーム(2022)がリメイクされ、話題&高評価になっていました。ネーヴキャンベルも24年ぶり!に出てくるそうです。

古い見慣れたタイトルを使って新作をつくる。そこには野望や執念があるはずです。
たとえば「13日の金曜日パート20」みたいなタイトルに、見たい感がわきますか?きっと多くの人々が「13金てまだやってんの?」とあざけるにちがいありません。でも、だからこそ映画人にしてみれば腕の見せどころ──になります。

パラノーマルアクティヴィティ(以下PA)もそんな旧タイトルなホラーと言えます。
今までも工夫によってそれなりに楽しませてくれましたが、このシリーズにはPOVという枷があります。「設置された監視カメラ、若しくは出演者のだれかがカメラマンになる」設定のPOVは、進化を阻むハンディキャップと言えます。POVのアイデアはやり尽くされた感があるからです。が、不利な条件だからこそ燃えるのが映画人です。

アメリカの映画作家は「ホラースタート」して認められるのが一般的です。
(日本の場合はいきなりアート映画を撮ってマスコミが天才と喧伝するところから始まる「いきなり天才スタート」ですがその後はずっと鳴かず飛ばずです。←完全に事実です。延命した「天才」作家知ってますか?)

個人的に佳品なPAでした。新規アイデアらしきものは感じませんが、うまくまとまっています。アーミッシュのコミュニティへ入り込んで密教をPOVします。マイルドなミッドサマーのような印象もありました。地下の穴蔵へのアプローチがすごく不気味に撮られています。ヒロインEmily Baderもじょうずでした。

PAの魅力は、日常な気配の人物が、いきなり逝っちゃってる人に変容する不気味さです。POVなので撮影し続けていることのシチュエーション=必然性の設定も要ります。演出の力量がよくわかる、すきなシリーズです。