津次郎

映画の感想+ブログ

白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)

5.0
日本映画をこきおろすことが多いですが例外もあります。テレビ出身の職人型監督と是枝裕和中島哲也、李相日、原田眞人・・・工匠なタイプの監督は敬愛しています。中村義洋監督もそうです。

判断基準は演出力です。演出家が演出がじょうずであることは合理では──と思います。反してこきおろしたくなる日本映画の監督はずばり演出がへただからです。それに加えてへたにもかかわらずマスコミが称揚しているから──というのもあります。

ときとして日本映画はへたなほど称揚されます。へたでも天才ともてはやされます。この現象は日本映画/日本映画界を(ものすごく)不透明にしていると思います。
当人が気づいたなら「すいません天才じゃないんで天才って謳うのやめてもらっていいですか」って言ってほしいと思います。

個人的に中村義洋監督は演出がもっとも巧い日本の映画監督のひとりです。
東京オリンピックの際、開閉会式に寄せて「演出家」が挙がっていました。映像作家も挙がっていましたが、よくわからない人たちでした。世の中の事態は──とりわけオリンピックのようなものは利権が支配していて、すぐれた者があてられるわけじゃないと思います。エンブレムからしてそうでした。

したがって中村監督はもっとも演出がじょうずなのにマスコミの称揚にはのぼってきません。だから映画にはリテラシーがひつようなのだと思います。マスコミはだめな映画/監督ばかりを持ち上げます。その嘘/ゴリ推しを払いのけて本物を見分けるのはリテラシーってことになるからです。

中村監督の演出力はその映画がおもしろいことでわかります。アヒルと~チームバチスタ~フィッシュストーリージェネラルルージュ~ゴールデンスランバーちょんまげぷりん・・・いずれもおもしろく且つ安定しています。エンタメに比重していますが、なんとなくアートなルート225やポテチみたいなのもやはりおもしろいのです。そのことを通じて映画監督はエンタメであろうが、アートハウスであろうが、演出力はひつようだ。ってことがわかると思います。

白ゆき姫殺人事件は湊かなえ原作のミステリーでした。大資本でオールスターキャスト、大量の登場人物をさばいていました。こんな形容をしなければならないのは癪ですがまるで韓国映画のようにおもしろい映画でした。
あかるく健康的な井上真央ですがここでは喪女をうまく演じていました。知名とともに善玉になった菜々緒ですがやっぱ悪玉が似合いました。

凝ったストーリーを解りやすく見せます。またミステリーや謎解きの領域から友情へもっていってじんわりさせます。こんな芸当ができる監督はほとんどいません。

Netflix、Disney+、HBOMax、Amazon、AppleTV・・・グローバルな動画配信の時代、言語はさまざまでも、全世界につうじる共通言語は演出力です。
すでにだれもが米英韓がおもしろいことを知っています。そんな世界になっているのに、へたなやつを天才とか言っちゃう日本映画/日本映画界ってすげえ変だよね。──という話。