津次郎

映画の感想+ブログ

いわゆるいれかわりもの ザ・スイッチ (2020年製作の映画)

ザ・スイッチ -KILLER SWITCH EDITION- 絶叫完全版 [DVD]

3.5
Kathryn Newtonでググったら、子役からのひとで、人気者らしく、セレブでもあった。コマーシャルモデルやドラマによってあちらでは知名度の高いひとだった。

昨年(2020)、原題「Freaky」でトレーラーがで出回ったときから、この映画を見たかった。女の子と殺人鬼のたましいが入れ替われる──たんじゅんだが、心躍る設定だった。
3ビルボードにも出ていたらしいがあまり記憶しておらず、今年に入ってアマゾンオリジナルの明日への地図を探して──でKathryn Newtonを見ることができた。

魅力的なひとだった。いちばん思ったのは目が据わっていること。とんでもない落ち着きぶりだった。わたしは倍生きているが彼女ほど落ち着いてはいなかった。そして大抵の人類が、彼女ほど落ち着いてはいない。──と思わせる据わり方だった。
誰かを見るとき、これだけバシッと据わるならば、人間社会も楽勝だろう──と思わせた。それにプラス、面相の健全性がある。わたしは観相学を知らないが、そういう見地から、最高値をとれる顔──のような気がした。

明日への地図を探してのレビューにこう書いた。
『やはりKathryn Newtonの落ち着いたおもむきが20代ではなくFreakyの配役が完全に理解できた。ふつうに殺し屋ができそうな眼光の据わり方はむしろ異常。コバルトブルーの瞳とゲジゲジ眉とざんばら髪と豚足みたいな二の腕をした華やかな人なだった。』

おそらく製作初動の段階ではVince Vaughnの女の子が、見せどころだったはずである。じっさい大男で強面なVince Vaughnが演じるティーンの女の子は、巧いし楽しい。ところが、それにスポイルされなかったKathryn Newtonの殺し屋が、この映画のすごさだった。負けていないどころか、むしろそっちに焦点がきていた。

たましいが入れ替わっているとは知らずに、いつもの気弱でぽんこつなミリーだと思って関わってくる生徒や家族とのシーンが楽しかった。
つまり、言うまでもないが、これはKathryn Newtonが殺し屋っぽい演技をした──ってだけのことじゃなかった。
殺し屋すら思わせるほど目が据わっているKathryn Newtonだからこそ、コミカルなシークエンスにリアリティが備わった──わけである。

個人的な着眼としてはジョンヒューズのFerris Bueller's Day Off(1986)の懐かしいアランラック。木材加工実習の嫌な感じ教員役。
教員や、アルファな子たちや、いじめっ子に虐げられているミリーが反転してしまう展開が映画の白眉だった──と言える。よって、見た目もさることながら、その強弱を演じ分けるKathryn Newtonが、やっぱり凄かった。楽しかった。

監督はHappy Death Day(2017)のChristopher Landon。
日本ではHappy Death Dayおよびその続編の評価が高い。なんでだろう。楽しい映画だったけれど、日本の評価は異様に高かった。Groundhog Day世代の支持ってわけでもなく、タイムループが新鮮だったのか、Jessica Rotheが日本人好みだったのか、若い人にウケていた感じがする。
ところで今さっき知った豆知識だがChristopher Landonのお父さんは大草原の小さな家のお父さん=チャールズインガルス役のマイケルランドンだそうである。

今さっき知った知識ついでに、監督よりもすごかったのはプロデューサーのJason Blum。セッション/グリーンインフェルノ/ザギフト/アンフレンデット/ゲットアウト/スプリット/ハッピーデスデイ/Us/アップグレード/透明人間/ザハント・・・。
すべてが半端ない話題作なうえクオリティもたかい。映画のプロデューサーってものが、なにをするのか知らないが、映画のクレジットのなかで、だてに監督のまえに出てくるわけじゃない──と思った。

邦題は内容がわかりやすいが、あざとい。
つまりVince VaughnとKathryn Newtonを並べてSwitchと書かれていたら「あーね」になってしまう。入れ替わる設定の映画に「入れ替わります」という題をつけるのは野暮だろうが。