津次郎

映画の感想+ブログ

激やせ マシニスト (2004年製作の映画)

4.0
だいたい40過ぎるとなんとなく気づくが「食べない」に勝る健康法はない。
それまでずーっとなにがよくてなにがわるくて、ああだのこうだの、やってきたりしたが健康法でもダイエットでも「食べない」に勝るもんはない。

それに気づいちゃいるんだが、いろいろとあたらしい方法を知るたびに、にわかで、やってみたりする。
なぜ気づいているのに、いろいろ手を染めるのかというと(いうまでもないが)「食べない」がいちばんの難関だから。
あれを食べるといい──にすがって「食べない」をパスする。わけ。

~いくら食べても大丈夫なので空腹を感じることなく続けられるのがこのダイエット法のメリットです!~
──とか言ってるセールスコメントよく見ませんか。ウソだよそんなの。空腹を感じないダイエットなんてないわさ。

わたしはコロナのちょくぜんにそれまで25年以上すってきたタバコをやめた。そのあいだになんども禁煙したが、挫折してきた。こんどの禁煙は禁煙後にコロナになったので、経済的に困窮し「また吸ったらお終い」がシビアに実感されることによって禁煙を常態化することができた──のだった。ぐうぜんだが禁煙後にコロナになったのがうんめいにも思えた。

しかし禁煙は慢性的な体重増加をもたらした。
喫煙はダイエットになる──と言ったら、怒られるかもしれないが、なにしろ何十年も口がさみしくなるたびタバコをすってきた──わけである。体重増加以上の弊害をもたらすとはいえ、喫煙は一過性のダイエットになるのは確かである。(と喫煙者だったわたしは思う。)

体重増加を止め、やせようと、いろいろやった。
タバコを吸っていたころも、太るたびにいろいろやったが、禁煙後の体重増加は、体重がひじょうに落ちにくかった。

コロナ後貧しくなったわたしは禁煙と同時にお酒もやめた。たばこをやめお酒もやめ、身体にいいものを食べ、わりと激しいうんどうをしたが、思うように体重が落ちなかった。むろん歳(あらひふ)というのもあるだろうが、やはりいちばん効いたのは「食べない」だった。食べるのをガマンするようになって、ようやく、体重計の針が動いた──のだった。(体重計はデジタルだけどね。)

映画の役作りで衝撃的にやせた俳優を見ることがある。
沈黙のアダムドライバー。キャストアウェイのトムハンクス。ジョーカーのホアキンフェニックス。本作のクリスチャンベイルもすごかった。まるでお腹と背中がくっつきそうな痩身だった。その身体改造に圧倒された。

見た当時、妄想落ちが哀しかった。とても印象に残っている。
美しい女性と懇意になって、満ち足りた時を過ごす。それがぜんぶ、ことごとく妄想だった。じつはただの薄汚い男。その闇を痩せた身体でひょうげんしていた。すさまじい凄みだった。
そんなかれはバイス(2018)ではぎゃくに倍ほども太っていた。

俳優が痩せたり太ったりできるのは、その意欲をつくりだすポピュラリティがあるから。だと思う。ことがある。
わたし/あなたもせかいじゅうの人々に慕われていたら、それが励みになって、ダイエットも完遂するんじゃなかろうか。ただしこれは庶民の見え方であって、そもそもせかいじゅうの人々に慕われる存在になったのは当人のどりょくに違いない。