津次郎

映画の感想+ブログ

ニコラスケイジ主演の新感覚コメディ カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇 (2019年製作の映画)

カラー・アウト・オブ・スペース-遭遇-(吹替版)

3.0
ニコラスケイジの出演歴を(imdbで)つらつらながめていたのだが、くるもの拒まずで、選んでない感じ。
近年はPig(2021)が7点こえていたほかは、ほぼ凡作orローバジェット。その中には、わが「日本を代表する」映画監督のPrisoners of the Ghostland(2021)も含まれる。

日本の業界はゴリゴリに園子温を推してきた。日本を代表する映画監督である──とのたまってきた。まるで園子温に弱みでもにぎられている──みたいに。

そんな園監督の海外進出第一弾Prisoners of the Ghostland(2021)。
結果は大コケ。
ばんざーい。

IMDBが4.2。Rotten Tomatoesが63%と26%。知ってのとおり海外批評家は日本映画に甘いゆえTomatometer(批評家評)が6割を越えたが、巨匠、大衆にぜんぜんウケてません。

ところが、さすが幇間な業界マスコミ、不利益な酷評を被ったPrisoners of the Ghostlandのことを、いっさい報道しません。

おかしいと思いませんか?

日本を代表する映画監督がニコラスケイジをつかって大々的に海外デビューしたにもかかわらず、日本にそのニュースがぜんぜん出回ってない──わけです。(マスコミの「海外で大絶賛!」て常套句だったのに、コケたらだんまりっておかしくないですか。)

とうぜん、これは箝口を布いているわけです。(憶測にすぎません。)ゴリ推しに持ち上げてきた監督ゆえ、箝口なんて楽勝ですわ。公やネットで、誰かがPrisoners of the Ghostlandについて話しているの見聞きしましたか?

日本を代表する映画監督なわけですから、大コケなんか報じられません。日本公開さえ、回避しようとしている、のかもしれませんが、もし日本へきたら、愛情をこめてレビューしたいと思っています。

ニコラスケイジ主演、Color Out of Space(2019)。
たしかにこんなのニコラスケイジしかやらない──と思わせる映画だった。突飛でやりすぎでロバートロドリゲスやむかしのピータージャクソンの脈をみた。

ニコラスケイジの怪演が語り草になっているVampire's Kiss(1988)という映画がある。
もとはホラーとしてつくられたと思う。が、ニコラスケイジの形容しがたい演技で、ホラーが消えスリラーの線も破綻している。そもそも彼が、怖がらせようとしているのか、笑わせようとしているのかが、わからない。

怪演というよりむしろ挙動不審と言ったほうが適切。コメディなら多少納得できるが、コメディとしてつくられた気配があまりない。(コメディなのかもしれないがコメディの気配がひじょうに薄い。)
おそらくニコラスケイジがぶっとんだ役どころを任されるきっかけとなったのがVampire's Kissだったと思う。

もはや世間ではニコラスケイジならば、変な人でもおどろきはしない。
つまり、もし他の役者が演じるのであれば、前段に「お父さんはすごく変わっている」というキャラクターの概説描写を置かなければならないのに、ニコラスケイジならば、いきなり出てきて、いきなり変なことをやらせても、大丈夫なのである。(と思う。)

が、ときとしてニコラスケイジもまっとうな映画に出る。天使のくれた時間は言うに及ばすナショナルトレジャーやKnowingや金ラズベリー賞もらったNextだってわたしは楽しんだ。癖っぽい役者の代名詞ゆえ、演技賞とは無縁だが、なによりかれは人に愛されている。箔にまさる楽しい個がある。

地球外生命体がとある家族に寄生する話。コメディ気配は薄い(もしくはない)のに、ニコラスケイジが変なので、結果的にコメディのように見えてしまっている。(→それは悪くない。)エイリアン/寄生/ミューテイション/コメディのエレメントがSlither(2006)を思わせた。

映画は初期ピータージャクソンのようなラジカルな異形を描こうとしたのだろうと思う。が、それならば、やりすぎ度がひかえめだった。またColorを冠するならば、もっとカラフルにしたかった。