津次郎

映画の感想+ブログ

2021-01-01から1年間の記事一覧

バイオレットエバーガーデンじゃないぞ ヴァイオレット・エヴァーガーデン (2018年製作のアニメ)

1.0なまいきなレビュワーですが逆張りはしません。(世間様の大多数意見にたいしてワザとあまのじゃくな意見をすることはありません。)(したところでなんの影響力もない過疎レビュアーですし。) 日本じゅうどころか、せかいじゅうの人々がほめているヴァ…

砕け散るところを見せてあげる(2021年製作の映画)

1.0むかしからよく見る英字4文字の監督。(ちなみにこの名前見るたび同じ音のゲイ雑誌思い浮かべます。)長いキャリアだけど演出はへた。しかもみょうに賞に媚びたアートな作風。幸福の鐘蟹工船MissZOMBIE天の茶助・・・お粗末さにそぐわない気取り、なんか…

パリ20区、僕たちのクラス(2008年製作の映画)

4.0母校は学校教師を多く輩出している。それゆえ同級会などで教職の多難を聞く機会があり、かれらのご苦労を知っている。 教員の不祥事のニュースを見ると怒りがこみあげてくる。が、同窓が苦労しているのを知っているので、相殺して、ばかな教員が教職の風…

どこまでも固執する女 セイント・モード/狂信 (2019年製作の映画)

3.5物語を創作するばあい、日常を書いても、おもしろくないので劇的にする。劇的にすると、日常性が失われるので、ホラーってことにする。だから映画作家のキャリアスタートがホラーなのは理にかなっている。 ホラーにくふうを凝らすことで、アスターやワネ…

映画学校での体験 スーヴェニア 私たちが愛した時間/ザ・スーベニア 魅せられて (2019年製作の映画)

3.3映画学校に通う女学生ジュリー。映画をつくろうとしている彼女の日常を散文風につづっていく。アパートをシェアしていた友人が去ったところへ、外務省に勤めていると自称するアンソニーがあらわれ、世間知らずの彼女に寄生する。純情なジュリーはヘロイン…

はるヲうるひと(2020年製作の映画)

1.0佐藤二朗が原作、脚本、監督を担当し、出演もしている。著名人にたいしてがっかりしたと言う人がいるが、いみがないと思う。が、がっかりした。佐藤二朗の笑いにはツボる。だから、なんとなく洒脱なものも期待して見たのだった。ぜんぜん違った。ただのザ…

アンチアンチエイジング アデライン、100年目の恋 (2015年製作の映画)

3.8じぶんが50歳になったら、50歳らしく生きているだろう──と思っていた。いや、そもそも、若いときには、じぶんが50歳になったときを想像はしない。若さとは、そういう思慮をする時期じゃないので。 でもなんとなく、じぶんが年を食ったら、それなりに相応…

クラシック・ホラー・ストーリー(2021年製作の映画)

2.0せかいじゅうのコンテンツが見られるネットフリックスなどのストリーミング配信サービスが日常化して、米英や韓国がドラマや映画をつくる技量に秀でていることがわかった。(──もとからわかっていたけれどもっとドラステイックに巧拙が露呈した。) それ…

サムワン・インサイド(2021年製作の映画)

2.513金やスクリームやフィアストリートのシリーズあるいはハッピーデスデイやザスイッチ──(アメグラやジョンヒューズ的)学園とシリアルキラーの組み合わせは定石。でもつくられる。わりと見たくなる。ふしぎに惹かれる組み合わせ──だと思う。Mark Duplass…

ダウントン・アビー(2019年製作の映画)

3.5連日皇室の結婚話が燃えている。輩がじぶんとはまったく関係のない人様の結婚に介入している理由(優位性をかんじて叩いている理由)──は税金である。マウンティングをとるために、百姓一揆があった時代のような「けつぜい」というコトバに代替している。…

ノー・ウェイ・アウト(2021年製作の映画)

2.5ホラー映画の主人公は執心やわだかまりを持っている。ことが多い。そして、敵となるモンスターが、彼/彼女のなかにあるその執心そのもの──を投影していることが、よくある。本作の主人公も母親が亡くなったことと、メキシコからクリーヴランドに移住した…

アメリカの家族の典型とは? アメリカン・ビューティー (1999年製作の映画)

3.0ユージュアルサスペクツのレビューに、世評が高いけれど、じぶんには面白くなかった──と書いたが、これもそんな映画のひとつ。アメリカンビューティー(1999)。 1917のサムメンデス監督のデビュー作として知られimdbが8.3(!)。rotten tomatoesでも87%…

世評と自分評のギャップ ユージュアル・サスペクツ (1995年製作の映画)

3.0わたしも世間も(たとえば)東京物語が傑作なのは知っている。でも東京物語が退屈で寝てしまった──などと言うひとはいる。でもそれって東京物語のせいじゃない。あなたが言う「退屈」とは古典的名作が現代人の刺激を満たさないということであって、あいて…

銀河系の欲望がいい感じ サイテー! ハイスクール (2018年製作のドラマ)

3.5好きなYouTuberでAllie Sherlockという女の子がいる。ダブリンでバスキングをやっている。パンチのある迫力の声で弾き語りをする。彼女は10歳からストリートに出ていて現16歳(2021)。成長期らしく、ここ数年で体型が変化した。わたしはごく初期からAlli…

マザー!(2017年製作の映画)

3.5彼は心の臓から取り出した鉱石をディスプレイに飾った。・・・ふりだしにもどる。──そんな輪廻のファンタジーだが、リアルな気配を持っていた。 たとえば、これはホラー映画です──と標榜されていると、怖くない。ってことはありませんか?ホラー映画がhor…

果てしない欲望 沈黙 (1962年製作の映画)

5.0若い頃はアントニオーニ、ベルイマン。アンゲロプロス、フェリーニ、ヴィスコンティ、ゴダール、パゾリーニ、タルコフスキー、大島渚・・・古典とされる名作に親しんだ。とてもきょうみをもってそれらを見た。だが、年をとると、アーティスティックな映画…

ナイトブック(2021年製作の映画)

3.2ホラーとは幼少期の過酷な思い出を拡大したもの──である。と思う。スティーブンキングのItやスタンドバイミーの子供らはいじめや虐待や孤立をかかえていたが、それらはキングの描く恐怖小説の根幹・原動力だったと思う。 ホラーを創作するばあい、発想の…

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

4.5わが国最高のLGBT映画として名高い「彼らが本気で編むときは、」のように、日本映画がLGBTを描くばあい「わたしはかわいそうなLGBTでございます」と世間から虐げられていることを言挙げし同情や涙を稼ぐのが常套手段である。 わたしはAlice Wu監督のSavin…

さりげない古典 素顔の私を見つめて… (2004年製作の映画)

5.0LGBTがうさんくさいのは、ほとんどの人間にとってのパートナーが、女が好きか、男が好きか以前に、(相手が)いるか、いないかの問題だからだ。 ゲイが差別反対とシュプレヒコールしながらパレードしていても、独り身の人間にとってみれば、おまえの権利…

腐ってもウィンステッド ケイト (2021年製作の映画)

3.3ケイトは殺し屋。大阪で要人を狙撃するが、その傍らには少女がいた。その慟哭が忘れられない。良心の呵責から稼業の引退を考える──そこから本筋が始まる。 ホテルで会ったワンナイトスタンドのお伴に、リトビネンコのようにポロニウムを盛られ、余命一日…

好ましい癖っぽさ 神様のパズル (2008年製作の映画)

4.0素人なりに誰某の演技がどうの/こうのと言ったりする。ところで俳優の演技はうまくなければならないもの──だろうか? というのも、演技をどうの/こうの言うわりに、演技力に定評のない俳優に魅力を感じることがある。から。演技がうまいからその俳優が好…

主人公は僕だった(2006年製作の映画)

5.0徴税人として真面目に規則正しく生きているハロルドクリック(ウィルフェレル)。あるとき天の声が聞こえ、エマトンプソン演じる作家の書いた筋書きに副って行動していることを知る。メタフィクションというコトバがあるが、それを敷衍できる作品だと思う…

ギンギラネオン街の日本 ラスト・ブラッド (2008年製作の映画)

2.6『香港・フランス共同制作映画として製作され、日本では『ラスト・ブラッド』の題名で2009年5月29日に公開された。』(ウィキペディアより) 元ネタは日本のアニメ製作会社がつくったアニメ。出てくるのは(日本人設定の)韓国人のヒロイン。舞台はアメリ…

クリスマスの監禁サバイバル P2 (2007年製作の映画)

3.1仏ホラー傑作Haute tension(2003)の監督Alexandre Ajaが脚本に関わっている。あの緊迫に似た感じがある。imdbは5.9だがもうすこし高くてもいいような気がする。rottentomatoes値は35・36%で低かったが個別評では賛否が半々にあった。 監禁されるまでを…

変容していくリンジーローハン アイ ノウ フー キルド ミー(原題) (2007年製作の映画)

2.0むかしのリンジーローハンは純情に見えた。ミーンガールズがいまも人気があるのはその無垢な見ばえにあると思う。 鼻柱から肩口から腕から鳩尾からそばかすだらけで、笑うと天衣無縫のようだった。そのくせ夏が終わって再会してみると爆乳になっていたあ…

蒲田行進曲じゃないよ 蒲田前奏曲 (2020年製作の映画)

1.5出演の松林うららによれば『本作の構想について、松林は「自分の半径5mにある話、自分が疑問に思ったことを表現できないかなと思った」と語る。』とあった。(映画ナタリーより) わりと明瞭に本気で思ったのだが、日本映画がダメなのは、映画を目指す人…

シンデレラ(2021年製作の映画)

1.5imdb3.6/10だが、ここでは4/5(8/10)の傑作あつかいだった。ちょろいマーケットだなあ日本て。 Camila CabelloといえばHavana。つっても、そのていどしか知らないが。にしても何十億回という視聴回数の動画を配信している、超ビックなシンガーなのは知っ…

名演 ファーザー (2020年製作の映画)

5.0アンソニーの脳内の錯綜(アルツハイマー)が説明されずに絵になっているので、サスペンスのようにも見える。つまり、かれのまわりの人たちが結託して、アンソニーを欺そうとしているように(も)見える。その見え方が、アルツに侵された老人の懐疑心や孤…

親愛なる白人様 シーズン1(2017年製作のドラマ)

3.0平生、だれも一言も漏らさないが、日本人は、すさまじいまでの白人コンプレックスを抱えている。テレビはハーフタレントだらけ。ハーフとはいえ片方はゲルマンかスラヴ、混成だとしてもムラートではなく見た目が白人な人しか好まれない。いっぱんに整形手…

反権力の象徴 コカコーラ・キッド (1985年製作の映画)

5.0エリックロバーツというと妹ジュリアは大女優だし娘エマも売れっ子若手女優だが、当人はB級沼にはまったまま出てこれなくなった。 だがエリックロバーツにはコカコーラキッドがある。それだけでじゅうぶんな一作品だと思う。 監督が亡くなった2019年1月、…