津次郎

映画の感想+ブログ

ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

ペパーミント・キャンディー デジタルリマスター版(字幕版)

5.0
ほったんは人気あるバレーボール選手だったが、そこから、ゆうめい人の学校暴力告発が相次いだ。知らないゆうめい人ばかりで、実感が湧かなかったがパク・ヘスも告発があがり、ドラマなどの放映が無期延期となった。パク・ヘスといえばスウィングキッズに出ていたのをよく覚えている。ちいさくてはしこい。リスのような楽しい女優だった。

韓国のこの現象(2021/02~)は、どちらかと言えば、やや奇妙にも感じられるはなしである。
おそらく、日本で、中高生時代の悪事がばくろされたとしても、職を追われるほどのことはないのではないか。そして、もし、それを問題視するならば、中高生のいじめ加害者などというものは、キリがないほどいると思われる。じっさい韓国では目白押し状態になっているわけである。雑ぱくに言って「昔はワルだった」を摘発しているようなものだ。儒教の国とはいえ、奇妙というかムリ感のあるはなし──だと思ってしまうわけである。

ただし、告発の対象になるのは、恒常的で積極的ないじめ加害者である。目立って悪辣だったからこそ、複数の人々がうらみを持って憶えている──わけである。火のないところには煙は立たない。
ゆうめい人に信じるとか裏切られたとか勘違いに満ちた言動を寄せる人々が一定数いるがシンプルに他人事であって事実はどちらでもかまわない。

個人的に思うのは、この現象が世界へ伝播するかもしれない──ということだ。いわばMeTooのいじめ版である。
ただ告発があったとして、韓国以外の国で「あなたの過去のいじめが発覚したので職やサポートを放追します」ってことになるだろうか?
いじめはセクハラとちがって取り締まるのがむずかしい。
やはり学校暴力告発は「怨」を尊重する韓国の国民性・特殊性がある。

日本では、恨みをたずさえて生きていくのが、不穏当なこととされている。まっとうな大人ならば、忘れて、離れて、別の世界で向日して生きたほうが健全だと説くし、またワルいやつは必ずその報いを受けるものと信じられてもいる。
それとちがって韓国では、なにか/だれかを根に持って生きる生き方が、あるていど肯定されている──ような気がする。
むろん実際の韓国人の性情は知らないが、韓国映画を見ていると、過去を引きずり、恩讐の彼方に生きているキャラクタライズがいっぱいある。

多くの映画ファンに衝撃を与えた、ペパーミントキャンディは、なんというか「怨」のダイナミズムだと思う。暗くて非情で、禍々しい負の欲心に満ちていながら、それがひたすら圧倒的で打たれる。まちがいなく見たことのない他のどこにもない世界だった。ソルギョングだったからこそでもある。映画と同時に、見たあとの放心状態をまざまざと記憶している。