津次郎

映画の感想+ブログ

濡れ場もなにもかもが長い ジョー・ブラックをよろしく (1998年製作の映画)

3.2
かつて話題になったが終ぞ見ていなかった。
ミッドナイトランという映画が好きでマーティンブレストにウォルターヒルのような乾きやアクションを期待したが、これは濡れっぱなしのラブストーリーだった。
映画そのものも長く、情交シーンも長く、寄ったカメラで見つめ合うラブシーンも長く、ピーナツバターを舐めるだけのシーンも長い。
とにかくなにもかも長い。
しかもそれらが、ぜんぜん引いてくれない。
ゆえにブラットピットは嫌いではないが、この映画のぬめっとしたかれは好きではない。ほとんど彼の女性ファンにアピールする撮り方をしている。おそらく監督は意識的にアクション映画の方法論──短いカット割り──を封印していて、それが映画から乾きと朗色を奪っている。

ただし、ロマンチックなラブストーリーという需要からすれば映画は悪くない。が、こんなの彼女と見に行ったら、居心地悪すぎてたいへんなことになったろうな──などと思った。登場人物のブルジョアも昔の自分が見たら敬遠の対象だったと思う。

眉がきれいな曲線のヒロインはこの映画以外では見たことのない人だった。後年ワインスタインの犠牲者のひとりだったことを明かしている。

印象はラストの花火が豪華だったことだが、じつのところ、湿っぽくて長い映画から解放された解放感があの花火に集約されていた。
また、ジョーが車にはねられるシーンがめちゃリアルだった。あのシーンだけは確かにマーティンブレストだった。