津次郎

映画の感想+ブログ

バッド・エデュケーション(2019年製作の映画)

4.0
足が付くっていう言葉があるが、横領が発覚するシークエンスがよかった。
学校のカード。経理課長パムとその家族はそれを私的に使っている。
息子がホームセンターで建材を買う。買いまくる。ものを揃えるため、系列店舗を跨いで買いまくる。ホームセンターは大型顧客である彼に無料配送を申し出る。じゃあ、ここへ送ってください。ホームセンターは建材工場に直送を依頼する。直送先は建築現場。配送担当者に学校関係者の知り合いがいて、学校のカード明細に謎の住所が載る。──足が付く。

実話から翻案したこの物語は下級生の学校新聞記者レイチェルの“スカイウォーク建設”に関する些細な取材からはじまる。
スカイウォークとは棟をつなぐ渡り廊下。教育長、目下の最大事業。
そして、がんらい「埋め草記事に過ぎない」と謙遜したレイチェルに、そんなことじゃいかん、本物のジャーナリストは徒事でもストーリーにするぞ──とけしかけたのはタソーン教育長自身だった。

おそらくとても怜悧な子だったにちがいない。エピローグのテロップは以下の一文で締めくくられる。
NYタイムズをはじめ、有名紙がこの事件を報じたが、さいしょに報じたのはロズリン高校の学校新聞だった』

また、テロップはこうも伝える。
『NY州の年金法によりタソーンには1年に17万3495ドルの年金が支払われる』

経理課長とふたりで12億円を横領したけれど法規上毎年年金2,000万円もらえちゃう。って話。
横領じゃないが無免許と当て逃げやったのに給与もらっていた都議いたけどスケールがちがう。

学校新聞の記者レイチェル役、Geraldine Viswanathan(ジェラルディンヴィスワナサン)がいい。
じぶんは観相できないが、いい顔。
しっかり眉でぱっちり目。豊頬。
私見ながら、上白石の姉系の顔を「いい顔」と判定する。
加えて値千金のタミル系顔。無限の配役チャンス。とても好ましい人だった。

VOD(AppleTV)にヴィスワナサン主演のHala(2019)がある。アメリカに暮らすムスリム少女が戒律と思春期の板挟みになる話。ヒジャブ姿もおすすめ。

ちなみにこれはU-NEXTの独占見放題枠だった。むかしコンビニ貧乏というものがあったが禍下でVOD貧乏が顕著化するんじゃなかろうか。