津次郎

映画の感想+ブログ

何色って言うのかな ティファニーの贈り物 (2022年製作の映画)

ティファニーの贈り物

3.3
ゾンビランドダブルタップのゾーイドゥイッチがよかった。超軽い。全身ピンク。だらしない英語。スーパーなバカっぽさ。淫乱。タラハシー(ハレルソン)いわく「脳みそがないからゾンビも食わねえんだ」。

母親がリートンプソン。リートンプソンといえば、出演作バックトゥザフューチャーによって、当時日本でも絶大な人気があった。

『日本では数多くの雑誌の表紙を飾り、銀座マキのテレビコマーシャル出演等、一時期アイドル並の人気を博していた。』(byウィキペディア)

おそらくリートンプソンが日本でウケたのはまじめな雰囲気があったからだと思う。ざっくりの記憶にもとづくが、紺野美沙子のように良家の子女や優等生や未通女を演じることが多く、汚れ役や破綻した人物像がなかった。

ソーイはそんな母親に反しビッチな役を演じることが多い。

(ちなみに父親は映画監督のハワードドゥイッチ。80年代最高のサントラ「プリティインピンク」の監督だが、商業型で“魂のないジョンヒューズ”という印象だったw。)

本作でも蓮っ葉なところもある、軽い判断で損ばかりしていそうなヒロインを演じていて、白顔にどぎついルージュをひいたビッチ気配がゾーイに似合っている気がした。

2022年の11月にリリースされたアマゾンオリジナル映画で、準クリスマス映画といえる。原題もSomething from Tiffany'sで贈り物が入れ替わったことから始まる恋愛譚。

あの鮮やかなティファニーの緑っぽい水色というか青っぽい薄緑がタイトルのクレジットからはじまり、同じ包装で贈り物を取り違えた時点で、はいもうぜんぶわかりました──と察してしまえるが、結ばれるまでの紆余曲折が料理のしどころ。おそらく気のない相手とできているふたりが、運命的なひとと出会ってしまう──というラインで進行する映画は探せば星の数ほどあるだろう。じっさい同時期かつ同じアマゾンオリジナル映画で運命の扉(2022、About Fate)というのがあり、それも共通の展開を持ったロマンチックコメディで、どっちのレビューをしようか迷っていたw。

((過疎レビュアーのどうでもいい自得情報ですが)じぶんは見た映画をレビューするのではなく、見て、なんか書けそうな材料やネタを思いついた映画をレビューしています。)

なので誰得な比較にはなるが、本作ティファニーの贈り物は、
──Imdb6.2でRotten Tomatoesが73%と65%だった。

運命の扉は、
──Imdb6.3でRotten Tomatoesが63%と67%だった。

運命の扉はエマロバーツとトーマスマンでキャスティングのスターメーターや映画の人気度は運命の扉のほうが上回っている。対してティファニーのほうは準クリ映画にしては批評家評が高い。とはいえほぼ互角だが。

個人的にはこっちのほうがよかった。本作のほうが、商業的で常套的だがスマートに和ませる。Kendrick SampsonがかっこいいしLeah Jeffriesという子役がくりくりしていた。

なんでも正直に言ってしまう子という設定のデイジー(Leah Jeffries)がレイチェル(ゾーイドゥイッチ)の服装──「グラミー賞に行く途中で子供を迎えに寄るジェニファーロペス」をイメージしたかのじょの勝負服──を見て「ストリッパーなの?」と言ってしまうところは本気で笑った。

ただしプロポーズ目的で買った指輪がダサかった。貫一を裏切って御曹司と結婚したお宮の金剛石のようにデカく、宝石の部分が不味い飴になっている昔の駄菓子のようだった。注視されるはずのないデティールかもしれないが、いまどきこんなクラシックなのをしていたら(NYならなおさら)襲われるにちがいない。

冒頭でふたりの男がティファニーで買い物をする。レイチェルのダメ男な彼氏ゲイリー(Ray Nicholson)は店員にI was hoping that one of those blue boxes would do the trick.と言って安価なピアスを買う。「(ティファニー色の)箱でごまかせりゃいいんだ」とはかれの役上の不誠実をキャラクタライズする台詞だった。

だからといってそれをジャックニコルソンの息子に演じさせるのは残酷だった。二世にもいろいろな状況がある──という話。