津次郎

映画の感想+ブログ

インドネシアの監督の国際進出 トリガー・ウォーニング (2024年製作の映画)

2.2

Mouly Suryaはインドネシアの女性監督で受賞や高評価などをもって順風キャリアを積んできたが、Netflixへ招聘されて失敗した──という感じの映画になっている。

デビューから三作目まではいずれもインドネシアの国内賞やサンダンスなどで好評を博している。とりわけ前作Marlina the Murderer in Four Acts(2017)はタランティーノを引き合いに称揚されていた。

情報によると、ネットフリックスがクローネンバーグの『ヒストリー・オブ・バイオレンス』で知られるジョシュ・オルソンとデヴィッド・フィンチャーの『ゲーム』で知られるジョン・ブランカートが脚本を手がけるアクション・スリラー映画『トリガー・ウォーニング』の監督をMouly Suryaが務める──と発表したのは2020年である。

肝入りの国際進出プロジェクトだったがジェシカアルバで釣るだけのアクション映画になっている感じ。冴えたところは見当たらなかった。

ロートル的にはブレックファストクラブのAnthony Michael Hallのクレジットに惹かれたが悪役だった。悪役がいけないわけではないが、小物感のある政治家役だった。

話は父の死を解明しようとする娘パーカー(アルバ)を、地元政治家と武器ブローカーが阻止しようとして三つ巴になる──というものだが、パーカーは傭兵上がりで片っ端から切り刻んでしまうナイフの達人、まるでランボーのように飛躍が甚だしく、リアルな世界と殺戮に整合がとれていなかった。

結局、せっかくのジェシカアルバを、あるいはせっかくのAnthony Michael Hallを──という印象になっているが、ジェシカアルバの若々しさには驚いた。

ジェシカアルバは映画のクオリティにはめぐまれない人だと思う。役どころも万能ではない。
アナデアルマスが──

『ラティーナの俳優は「官能的」や「情熱的」といった固定観念を持たれていると指摘し、これを問題視している。ただしMeToo以前のハリウッドではそれが役立つこともあったと考えている。』
(ウィキペディア、アナデアルマスより)

という発言をしており、この種の発言をロペスもジェシカアルバもしていたような気がするが、おそらく「官能的」や「情熱的」な役どころを充てられるのはラテン系(に見える人も含めたラテン系)女優が必ずおちいるポジションなのだろうと思う。ただし彼女らがそのラテン気質を生かすことで人気を獲得するのも事実である。

imdbは5.3だが、Honey(2003年、邦題:ダンス・レボリューション)の活き活きしたジェシカアルバには映画のクオリティを凌駕する魅力があった。

アルマスやロペスと同様にジェシカアルバも、モテまくる人だったが、幸せな結婚をして子宝に恵まれ、チャリティや動物愛護活動に熱心だという。
そういう善意と多幸な雰囲気が似合う人だけに、このてのHarshな役回りではなく、善良で幸福なドラマ映画の中で見たいと思った。

imdb4.6、RottenTomatoes24%と17%。