津次郎

映画の感想+ブログ

エイスグレイド2 ベスト・フレンズ・エクソシズム (2022年製作の映画)

ベスト・フレンズ・エクソシズム

5.0

エイスグレイドのエルシーフィッシャーの近影がエリオットペイジのようになっている。撮影用の変身なのかもしれないが、転換したようにも見える。自認するpronounsはthey/themだそうで外観上はすでに女子の面影はない。(they/themは一般的には複数形だが性自認においては彼(he/his)とも彼女(she/her)とも言われたくないノンバイナリーの人が使うそうだ。)

エルシーフィッシャーの、おっとりしていて、なんとなく猫背で、毎朝クレアラシルをぬりたくっているような素朴な印象に好感をいだいているが、当人はそのようなエイスグレイドに囚われた見地から見られるのが嫌なのかもしれない。

エレンがエリオットになったとき、祝福があふれた。あたりまえだ。女のときのほうがよかったなんて言ったら非礼だし、ここみたいな泡沫アカウントでないなら炎上必至である。lgbt絡みなので公人なら弩級炎上になるだろう。

ただし単なる映画ファンとしては“もういないエレン”にたいして一抹のさびしさがあった。junoもローラーガールズもBeyond Two Soulsもタルーラもすきだったからね。

エルシーフィッシャーだっておなじ。男子になったら公的には祝福しても、寂しくなるだろうな。──というわけで、もしかしたら最後の女子版エルシーフィッシャー映画。

imdb5.3、RottenTomatoes51%と36%。

親友グレチェン(Amiah Miller)が悪魔に憑かれ、それを助けるために奮闘するアビー(エルシーフィッシャー)。
テイクオンミーではじまり、部屋にボーイジョージが貼ってある時代。サントラにもカルチャークラブが流れる。

コミカルな学園ドラマに仕立てつつも、なんとかして友人を助けようとするアビーの真摯な友情に心をうたれた。
ミッション系学園のとりまきも活き活き描かれている。個人的にはエイスグレイド2と言っていい感動作だった。

悪魔に憑かれた親友グレチェンに酷いことをされても、どこまでも信じるアビーがけなげだ。この監督は、純真さで濃色が出てくるエルシーフィッシャーの使い途を知っている。

かんがみてエクソシスト関連でもっとも色を発してる映画でもあると思う。

マッチョと伝道ビジネスをあわせたレモンブラザーズの一員で、ヨーグルト好きのクリスチャンとアビーが悪魔払いをする様子はウィリアムフリードキンだって感心するにちがいない。パワフルでアイデアも熱量もある。5は盛りすぎだが、世評はアンダーレイテッドだと思ったので。