津次郎

映画の感想+ブログ

ラブコメ女王 ユー・ガット・メール (1998年製作の映画)

ユー・ガット・メール (字幕版)

4.0
ラブコメ女王だったが個人的に思い入れはなかった。
ほんとに好きな人は90年前後の出演作を挙げると思う。
You've Got Mailはむしろ後期なのかもしれない。

映画はシンボリックな名作だが、いまひとつ傑出しなかった理由は、ジョー(トムハンクス)が──すなわち男性側だけが、メールの相手が、キャスリーン(メグライアン)であることを知っていたから──だと思う。
それは、匿名でやり取りするばあい、致命的に卑怯なことだ。

ただ、その立脚点がなければ、ロマンチックコメディが成り立たなかった。
メール相手がキャスリーンであることを知っていた、にもかかわらず、それを明かさず「泳がせておく」ところが、You've Got Mailの楽しさになっているのである。

現実に置き換えるなら、それは悪意にみちている。ストーキングとすら言える。映画は楽しいが、男性側の優遇と、男性側の願望的展開を持っていた──と思う。

ただ、ジョーには彼女を廃業に追い込んでしまった負い目があった。立場の違いすぎる恋愛を成就させようとして「泳がせた」わけでもあった。
──分析はともあれ。楽しい映画だった。

ライアンは2015年に初監督兼出演してからほぼ姿を消している。世界中を魅了した彼女はいまやもっともbefore・afterを並べられてしまう女優である。

いま劣化は一般的になってしまったことばだが、地球で、かつ地球史上で、もっとも高齢化が進んだ国で、老化を劣化と言っているひとはあほにちがいない。テレビの文化人が使っていてもゆめゆめそんな差別語を使ってはいけない。──と個人的には思う。
なんてがらにもないが。

少し前エンタメニュースで古い名前のロックスターとの破局を知った。当時洋楽信仰者だったが、まったく聴かなかったひとである。とはいえチャートの動きの遅い時代だったからOh yeah, life goes on, Long after the thrill of livin' is gone, とか耳なじみがあった。

破局を知ったとはいえ、たまさか知ったエンタメ情報であって、お付き合いされていたことさえ知らない。昔はクーガーというミドルネームがあった。メグライアンと付き合うならCougarを付けとくわけにもいかなかったんじゃなかろうか。

ラスト前着替えて歩いて行くとき後ろ姿のショットがある。
一瞬両手を水平して落ち着こうのしぐさをやる。
ほんの一瞬だがなんとなく覚えている。