津次郎

映画の感想+ブログ

明日への地図を探して(2020年製作の映画)

明日への地図を探して

3.6
ヴィンスヴォーン(Vの日本語表記がきらいですバビブベボでいいじゃんかよ)とKathryn Newtonが出ていて、殺し屋とJKの魂が入れ替わってしまう映画「Freaky」のトレーラーを去年(2020)見てから、見たくて見たくて状態だった。

それが遅延したのだろうか?よく事情を知らないが、禍だからどこかのストリーミングサービスに降りてくるような気がしていたが、降りてもこず、公開も先になったようだ。

長いキャリアのヴォーンはともかく、Kathryn Newtonという人を知らなかったが、検索したらいっぱいでてきた。本国では人気者&セレブの気配があった。
目が据わっていて、子供の時分から業界にいないとこの据わり方をしない。
検索ついでに見つけたのはこのGroundhog Day亜種だった。

ループするならアイデアが前提になる。
Happy Death Dayはホラー仕立てだったが、そもそもGroundhog Dayに抗するわけだから、誰にもそんな自信はないわけで、量産はされてこなかった。
ところがこの映画は、言ってみりゃ二人があちこちを巡って、日常に遍在する、つつましい喜びの瞬間を見つけるだけ──である。
それなのに楽しい。

通俗的なにんげんがループに落ちたらナニをするだろう?
宝くじをあてるとか、女をおとすとか。まあだいたいデジャブの初段階のフィルみたいなことをやるんではないかと思う。

だけど二人は賢くて足るを知っている、ようするに良識ある大人なので、街のbeautiful momentをさがして、それで、じぶんも嬉しくなれてしまう。俗人のわたしから見て、その姿がとても好ましい。

加えて、ふたりの行動がいわゆる「バカッコイイ」になっている。何回も繰り返している日常ゆえに、避ける当てる躱す投げるのタイミングが決まる楽しさがあり、映画に軽快なリズムを与していたが、とうぜん身体的躍動あっての見ばえである。おそらく17歳くらいの設定だろうが、精神的にも肉体的にも子供っぽさはなく、二人はしっかりと世界に対峙して、現実に向き合い、いろいろなことを考えていた。映画でもなんでもそうだが英語圏のほうが断然matureである。

映画が呈示するのは、デジャブで徐々に改心するフィルと同じで、わたしたちの親切心が人生や世界を変える──という話。
周りの人を扶けてやる、いっしょに幸福な時を過ごす。それができるなら、けっきょく自分自身の人生が豊かになる、と映画は言っている。

やはりKathryn Newtonの落ち着いたおもむきが20代ではなくFreakyの配役が完全に理解できた。ふつうに殺し屋ができそうな眼光の据わり方はむしろ異常。コバルトブルーの瞳とゲジゲジ眉とざんばら髪と豚足みたいな二の腕をした華やかな人なだった。