津次郎

映画の感想+ブログ

抜群のセンスとクオリティ ライダーズ・オブ・ジャスティス (2020年製作の映画)

5.02020年デンマーク映画。 Anders Thomas Jensen監督で、同監督の映画をはじめて見た。クオリティの高さにきょうがく!あまり見ない国の映画に感心したとき、映画なんてけっこう見ているようで見てないもんだなあ──と思う。 母親を列車事故でなくした父娘の…

軽さと重さの同居 明日 (2022年製作のドラマ)

4.0おおくの人々が日本のドラマよりも韓国のドラマのほうがすきだったり、おもしろいと思っているが、韓国の伝えるニュースは、韓国をいい社会だと言っていない。そっちょくに言ってひどい国だとニュースは言っている。現実の韓国は、ドラマにあるようなたの…

幸せのちから(2006年製作の映画)

4.5第94回アカデミー賞(2022/03/27)でクリスロックに妻を揶揄されたウィルスミスが登壇してロックをなぐった。めずらしい画だった。異国のスターの出来事だが、なぜかとてもドキドキした。 その時事に寄せて、この映画のレビューをしているのだが、ウィル…

Baby you can ドライブ・マイ・カー (2021年製作の映画)

4.3原作は未読ですが映画のために構築された──となっていました。 『村上春樹の同名小説「ドライブ・マイ・カー」より主要な登場人物の名前と基本設定を踏襲しているが、同じく村上春樹の小説「シェエラザード」「木野」(いずれも短編集『女のいない男たち…

近接なカメラ たかが世界の終わり (2016年製作の映画)

4.0ヘンな感覚の映画だった。 とりあえず内容を置いても、見え方(撮影方法)からして、顔のアップでずっともっていくので、世界がとらえられなかった。 (常に顔のアップなので)住居や調度や昼夜や体型や姿勢や各々の位置情報や食事の内容がわからない。く…

アイデンティティの話 アメリカン・ガール (2021年製作の映画)

2021年製作/101分/台湾原題:美國女孩 American Girl 3.3北京オリンピックでの谷愛凌(Eileen Gu)の活躍は記憶に新しいと思います。中国に金メダルをもたらしましたが、国籍については明言をさけていました。そのことがいいかわるいかはともかく、見た目…

Paranormal Activity: Next of Kin パラノーマル・アクティビティ7 (2021年製作の映画)

2.8アメリカ映画のばあい旧タイトルがブラッシュアップされることがあります。たとえばダークナイト以前のバットマンはスーツアクターがかつやくする娯楽映画──というポジションでしたが、ジョーカーの邪悪やヒーローの苦悩が描かれることによって大人向けの…

豪腕な演出 白ゆき姫殺人事件 (2014年製作の映画)

5.0日本映画をこきおろすことが多いですが例外もあります。テレビ出身の職人型監督と是枝裕和、中島哲也、李相日、原田眞人・・・工匠なタイプの監督は敬愛しています。中村義洋監督もそうです。 判断基準は演出力です。演出家が演出がじょうずであることは…

声優選びに疑問あり 竜とそばかすの姫 (2021年製作の映画)

3.3細田守は宮崎駿や新海誠にならぶすぐれたアニメ作家だと思っていますが声優の配役には多少疑問がありました。 わたしは田中裕子のエボシ御前や美輪明宏のモロ小林薫のジコ坊、木村拓哉のハウルも倍賞千恵子のソフィーも敬愛していますが、細田守のばあい…

ブラック・クラブ(2022年製作の映画)

2.6ノオミラパスをはじめてみたのはゆうめいなドラゴンタトゥの映画ではなく、ローリングストーンズのDoom and GloomのPVです。Parental Advisoryになっていてぶっこわれた感じの動き/だんすをしていました。気になってしらべたらリュックベッソンが監督して…

きほんてきにキムタクはかっこいい マスカレード・ナイト (2021年製作の映画)

4.0テレビ業界と映画業界があって、じぶんがよくけなす「日本映画」は映画業界に属している──と思っています。 テレビ業界のひとたちも映画をつくりますが、それらは映画業界のひとたちの映画よりもずっとクオリティが高い──と思っています。 じぶんだけでな…

アニメ版 ジョゼと虎と魚たち (2020年製作の映画)

3.0ジョゼと虎と魚たちは田辺聖子の短編小説です。わたしはけっこう映画を見ますがしょうじき読書量が少なく原作を読んでいる映画は稀です。が、これは読んだことがあります。 (わたしは田辺聖子の熱心な読者ではありませんが)田辺聖子は芥川賞も吉川英治…

母の強さ クワイエット・プレイス 破られた沈黙 (2021年製作の映画)

3.6前作クワイエット・プレイス(2018)は手放しの絶賛で批評家に受け容れられました。 じぶんはしばしば映画の評価をIMDBやrottentomatoesでかくにんします。 クワイエット・プレイスのトマトメーター(批評家評)は96%でモンスターパニック映画として異例…

デンマークの視点 その瞳に映るのは (2021年製作の映画)

4.01945年、英空軍によって実際におこなわれた作戦を描いています。想像を上回る悲惨な話でした。この惨禍の認知度がひくいのは西側の過失だからだと思います。被害者の子供らはナチスの教化下にありました。戦後、枢軸が悪と定義され、連合側の失策が積極的…

アダム&アダム(2022年製作の映画)

3.3タイムトラベルで過去のじぶんには会ってはいけない。──比較的よく知られているSFのルールだと思いますが、本作では会うどころか一緒に過去へ行ってたたかいます。邦題(アダム&アダム)は大人の大アダムと子供の小アダム──のふたりをあらわしていると思…