津次郎

映画の感想+ブログ

ライク・サンデー、ライク・レイン(原題)(2014年製作の映画)

3.7
Career Opportunities「恋の時給は4ドル44セント」(1991)にFrank Whaleyという俳優が出演していた。
かれにはジムドッジ(そこでの役名)のイメージしかない。

ほかの映画に出ているのを、ほとんど見たことがないせい──でもあるが、あの映画の、お調子ものな印象が、ぴったりはりついて、しまっている。

ジョンヒューズが絡んでいるもののなかでも、もっとも軽薄だったが、若いころ見たCareer Opportunitiesは気分を軽くした。
つまり──ダメなにんげんが、短絡と飛躍によって成功する話で、それは現実から逃避できるたのしい映画だった。
ヒーローらしくないFrank Whaleyを、ヒーローとみなすことができた。

いっけん情弱な優柔不断のキャラクタライズに好ましさをかんじる。ことがある。
たとえば、未来世紀ブラジルのジョナサンプライス、アフターアワーズのグリフィンダン、ホビットなどのマーティンフリーマン、MIなどのサイモンペッグ。
アベンジャーズのなかで言うならスパイダーマンのトムホランド。

軽くて饒舌で、なんとなく大言壮語で、みずからの言動によって窮地におちいっていくタイプ。かれらは、かならず映画にやくどうをもたらす。

Frank Whaleyは、監督業もやっていて、いくつか撮っているようだが、見ることができたのはこの映画だけ。

たとえそれを知らなくてもいい映画だったが、これをジムドッジがつくっていることが、個人的には無類の価値だった。ずっと固着していたFrank Whaley=ジムドッジのイメージが「動いた」から。
そもそも、あっち(アメリカ)では、俳優が、監督になり得る──それが個人的には驚異である。

富裕層かつgiftedな少年のところへ、男に失敗して行き詰まり、金欠な女性がナニーとして雇われてくる。
少年は天才で、お金持ちで、物分かりがよく、世渡りがうまく、ヴィーガンである。たいする女性は、DV男から付きまとわれている低層階級。ふたりは、まるでちがうのに、息が合う。──ふたりが過ごしたひと夏を描いている。

Like Sunday, Like Rainは少年の書いたチェロ向けのスコアである。
それが映画ちゅうずっとリフレインしていて、雰囲気をいんしょうづけている。少年と女性で、恋愛におちいらないことが、この映画をとてもみずみずしくしていた。

サンダンスへは出してないけれど、サンダンス観客賞みたいな──感じの意外な佳作。
クリスエヴァンスが監督したBefore We Go(2014)という映画があったが、へえ、キャプテンアメリカがどんな映画とるんだろ──みたいな軽い気持ちで見たら、すごくいい映画だった──みたいな。あっち(アメリカ)では、俳優が、監督になり得る。

ところでLeighton Meesterは、淑やか(しとやか)、にさえ見えるひとだが、wikiを見たら壮絶な来歴の持ち主。刑務所で生まれていて10さいから生活費をかせぐためモデルになったとのこと。おそらく、その野生味が、映画に真実味をもたらしていた、はずである。