津次郎

映画の感想+ブログ

社会問題に寄せる となりのチカラ (2022年製作のドラマ)

4.0
それぞれタイムリーな問題をかかえた住人たちを主人公チカラが話毎じゅんばんにかかわっていく。

住人の問題は虐待や認知症や外国人労働者や親子の争いなど・・・。

毎話、優柔不断だけどお節介なチカラが、逡巡しながら他人とかかわり、解決とは言えないまでも、ひとつの平和的な着地へ持っていく脚本はとてもよくできていると思う。

つっこみどころは多く、ネットではさっそく(お節介ゆえ)「たんなるストーカー」と評されていたが、卑近な題材で現代社会を投影した話には労を感じる。
(エッチなことは言っちゃいけないと言われたから)手旗で話す息子のキャラクターは楽しい。
(ヒッチコックの)裏窓のような覗きの面白さもある。

が、正直なところ1~3話までは手応えが軽かった。4話で目から鱗が落ちた。松嶋菜々子と成海璃子が迫真の演技をみせ、とても感動した。

妻のあかりが言うように(チカラ以外の)人はじぶん(や家族)のことしか考えていない。
が、現代では誰も「おまえはじぶんのことしか考えていない」とは言われない。じぶんのことしか考えてなくても大丈夫だから。むしろじぶんのことを考えろ──と教育される。

ひるがえって他人のことばかり考えているチカラのキャラクターにはハッとさせられるところがある。軽い空気感のドラマにしているが、なんとなく啓蒙へ持っていく脚本に感心した。

なお、マリアのカタコト日本語はややわざとらしい。気がする。