津次郎

映画の感想+ブログ

約束のネバーランド(2020年製作の映画)

1.0
漫画は読ま/見ないひとです。
この原作も知りません。

漫画であれば、陳腐ではない──のだろう。
映画になっていると「それがどうした」と言いたくなるくらい阿呆らしい内容──だった。

怪物の餌(子供)を育成している施設の話──だと思う。
様式がある。
洋館で、児童は拘束服のような白服で、所員は西洋のメイド服。
フィクションであっても、個人的にはこのような様式を見たとき、根拠を知りたいと思う。
かれらはなぜこんな格好をしているのか?
国籍はどこなのか?

たとえば、なんで(プペルの)ルビッチは山高帽を被っているのか?
そもそもなんで外国名ルビッチになっているのか?
作者らはその根拠を敷衍できるだろうか?

様式は映像にすると白けるばあいがある。
とりわけその様式に根拠がなく、ただたんにカッコいいから、そう設定した/描いただけのばあい。

冒頭からエセの様式におおわれた世界に嫌気した。
その服装、緑が茂った場所、思わせぶりな首の番号、妙な髪色、和気あいあいとした施設の雰囲気、見た目のいい子供らの寄せ集め。
漫画ならば、払拭できたはずの陳腐がある──と思う。

筋は100歩ゆずってカズオイシグロのわたしを離さないでを思わせる。が、それを子供向けにして毒と骨を抜いている。
切実度がまるでない世界の住人(のコドモ)から、なんで博愛や愁嘆聞かされなきゃなんないの?
それにだれが感化されるの?
そもそも、この映画のターゲットはだれ/何歳だろう?

うまい喩えじゃない──かもしれないが、皮相にきれいなコドモらと白い服と白い洋館と新緑、爽健美茶とかポカリとかそういうCMみたいな、うすらさむいシーナリー。人のからだと人のうごきに映画のダイナミズムがまるでない。

母親が愛情と殺意を同時に持っている──ことは、掘り下げられるテーマだったと思う。が、とうていそんなところへは昇華していなかった。(原作は)がんらい違う話じゃないだろうか。所員を欺いて脱走する以外、いかなる筋も結論も持っていなかった。

なんていうか唐突な発言だが、漫画に(かっこつけの)西洋文明が描かれているとき、白人が好きなら白人でつくれよ。と思う。