津次郎

映画の感想+ブログ

雰囲気がレベち サバハ (2019年製作の映画)

3.9
巧いなあと思います。
冒頭からリアリティの佇まいが違います。
と、感じながら、何と比べて巧いのか/違うのか、を考えると、やはり日本映画です。
あまり言いたくないことですが、韓国映画を見ていると、なぜか日本映画とクオリティ比較してしまいます。
それは漠然としたもので、実証性はありません。
また、とうぜん両者に優劣はありません。
ただ、いい日本映画がないなあが、けっこう恒常的な雑感なので、ことさらに巧さや違いを感じるのです。

哭声のようなホラー+ミステリーです。
長尺と解りにくさで、だんだん失速してしまいますが、この手の異形譚は韓国映画の独壇場だと思います。序盤はぐいぐい引き込まれました。

いちばん凄いのは市井の人のリアリティです。
着衣や小道具や住居や皮膚などの、底辺感や汚れ感や経過感が、自然でリアルです。
個人的には、日本の時代ものなどで、まっさらな衣装を見ると興醒めする質なので、韓国ノワールのリアルにはとても惹かれます。
むろん、映画では絢爛たるスターや佳景を見たい人もいるでしょうし、リアリティをよしとするか否かは人それぞれですが、より自然な禍々しさを見せるという意味では、ちょっと日本映画は敵わないのではないかと思いました。

たまさか直近で貞子を見たこともあって、なおさら差異を感じてしまったのかもしれません。
大人と子供です。
貞子は邦画ホラー界の雄といえる監督作品なのですが、ここさいきん目覆うばかりの駄作を連発しているんですが、いいんでしょうか。もちろんここで同監督を引き合いにしなければならない脈略も筋合いもありません。ただつい先日見たばっかりだったのが、いけなかったのです。

対抗する必要もないことですし、映画とはいえ、比較となれば微妙な発言にならざるを得ない隣国ですので、あまり言いたくないことですが、少なくとも映画づくりに関しては、解ってる人たちだなと思います。