津次郎

映画の感想+ブログ

福田組 今日から俺は!! 劇場版 (2020年製作の映画)

今日から俺は!!劇場版

2.0

原作漫画の初版は1988年。映像化でリバイバルヒットしたらしい。賀来賢人や仲野太賀が楽しい。みんなのびのびやっているのに笑えるクオリティなのはさすが福田組だった。演者は学生よりも二回りor三回り年上で、それが全体のテンションをオフビート&リラックスムードにしている。ある程度のベテランが若気を表現すること自体がコメディだった。

が“差別の笑い”だとは思う。

たとえばこの映画今日から俺は!!を学校で放映したら、みんな無理して笑うだろう。陰キャもおたくも、いじめられっこも、これを見て仕方なしに無理して笑うんだ。こういう一軍世界観に迎合しないと、はぐれるからね。

これがいったい誰を笑わそうとしてんだろうと考えると日本の特殊性を感じざるをえない。

──

余談だが、

個人的な感想だし、コメディなんだからマジになってはいけないと思うけどなんで不良が主人公なんですか?──と思う。

これを見たときのNetflix映画ランキング、ヤンキーコメディの“G-MEN”とこの今日から俺は!!がワンツーですよ。ビーバップハイスクールとかクローズとか東京リベンジャーズとかHiGH&LOWとかもヤンキーの話だよね。

この国って14歳の少女が凍死するようないじめ大国ですよ。いじめ大好き人間の集合体国家ですよ。

ヤンキーやいじめっこなんてしねばいいんですよ。いきてなくていいんですよ。

なのに、なんで日本のクリエイターはヤンキーとか極道に脚光浴びせてんの?義侠だろうがヤンキーはヤンキーだろうが。弱者を虐げて笑っているわけだよね。へんだと思いませんか。おかしいと思いませんか。

たとえばあっちで強者やいじめっこが主人公の青春映画ってありますか?
ジョンヒューズ映画、ウォールフラワー、スクールオブロック、スタンドバイミー、エイスグレイド、ブックスマート、EasyA、スウィート17モンスター、シングストリート、ぼくとアールと彼女のさよなら、Ghost World、はちどり、子猫をお願い・・・あっちの青春映画って、すべてみんなとうまくやっていけない、いろんな悩みをかかえた陰キャやはぐれ者の話だよね。ミーンガールズやクルーレスですら“一軍”に対する皮肉の映画だよね。

いったいどこの世界に不良どもをかっこよく描く国があるんだよ。日本にしかねえわそんな腐った世界。おそらくストーリーの中で勧善懲悪にしてあれば不良がヒーローでもいいという判断なんだろうが不良は不良なんですよ。そもそもそういう世界が肯定されるなら、少なからずいじめっこが書いて、いじめっこが演出して、いじめっこが出演しているんだって思ってしまうよね。この映画もそういう産物ってことになるよね。──というわけで、いわゆる“不良もの”を見るたびこの国終わってんなと個人的には思います。