津次郎

映画の感想+ブログ

グレナジー リベンジ・スワップ (2022年製作の映画)

リベンジ・スワップ

3.2
学園もので陰キャが一軍女子に絡むとマジカルな楽しさがあらわれる。

未通女と小悪魔の組み合わせ──と言ってもいいが、この構造はクルーレスのシルヴァーストーンとマーフィにもあった。ミーンガールズのマクアダムズとローハンにもあった。レディバードのシアーシャローナンとオディアラッシュにもあった。先日見たThe Falloutにもあった。──定番の構造だと思う。

ヒューズのブレックファストクラブの醍醐味は学園内では生息地も違えば話すことさえしない別チャンネルの人種たちが会して話して宥和が生まれるところだ。陰キャが一軍と組んで意外に解り合えるとき、わたしたち(観衆)は、なんとなく気分があがる。──わけである。

しかし。

陰キャと一軍がお互いの復讐を交換する話なんだな──と思って見ていると話はあらぬ方向へ進んでいく。定番的な学園ものの様相ではじまるが欺し合いのスリラーに変転してく感じ。けっこう変わった映画だった。

もともとカミラメンデスが演じたドレアは収まりのつかないヒロインだった。
一軍なのに裕福ではなくラテンアメリカ人でもある。
メンデスはブラジル人の両親から生まれており非白人なのは明白だが、白人に見えてしまうときもある。微妙な見た目は彼女のオリジンを曖昧にしている。

『2つの文化が、私という人間を創り上げたのだと、本当に感謝しています。私は血統的にはブラジル人であり、大家族はすべてブラジル人ですが、生まれ育ったのはアメリカです。ブラジルに行くとアメリカ人になったような気がするし、アメリカではいつも自分がブラジル人であることを実感するのです。』
(Wikipedia、Camila Mendesより。People Magazineのインタビューにて。)

加えてドレアは嫌な女でもあった。謀略に長け毒舌で意地悪で無慈悲。描き過ぎてしまったようなへの字眉とわずかにしゃくれたメンデスの顔はじゅうぶんに憎たらしかった。

共演のエレノア(マヤホーク)はまさにユマサーマンとイーサンホークが半分づつはいっている顔。白人で出自もサラブレッドだが、ひょろ高く脆さとオタク値があった。
学園カースト上だけでなく、ドレアとエレノアはぜんぜんちがうふたりだった。

話はあらぬ方向へ進んでいく──とは言ったが、ラストは小池徹平みたいな印象の“マックス”を失墜させ、わりとこぢんまりと決着する。もっと振ればヘザースみたいな怪作になったかもしれないが無難に予定調和した。

他の出演者では、Never Rarely Sometimes Always(17歳の瞳に映る世界、2020)にも出ていたTalia Ryderという女優が目をひいた。アイキャッチャーだと思う。また、ひさしぶりにサラミシェルゲラーを見た。バフィー以来だから20年ぶりだろうか。

本作で知った言葉。
Fatal Attraction(危険な情事、1987)に出てくるグレンクロースみたいなエナジー(男を破滅させる負のエネルギー)を「グレナジー」と言うそうだ。