津次郎

映画の感想+ブログ

6期目 ブラック・ミラー シーズン6 (2023年製作のドラマ)

ブラック・ミラー シーズン6

3.7

①ジョーンはひどい人
筒井康隆のおれに関する噂みたいな話だが自らを堕とし辱める方法がそりゃもうお上品ですこと。
ブラックミラーってテクノロジーやディストピアがテーマではあるけど一方で「過剰さ」比べでもあるよな──とは思う。

②ヘンリー湖
村の惨劇よりも内向的な白人男と外交的な黒人女の組み合わせ及びふたりの外観のほうが衝撃的。
「おれの多様性を試してんのかよ」と言いたくなるほどちぐはぐなふたりだった。

③ビヨンドザシー
宇宙空間という“密室”で絶望におちいってしまうことの恐怖と、失うものがなくなった人間の果てしない嫉妬心。
うわあ見ちゃおれん──という気分にさせる話だった。

ところで歌い出しだけは歌える“ラメール”を聴くとMr.ビーンカンヌで大迷惑?!(2007)を思い出すんだよね。

④メイジー・デイ
キャラクターから察するに狼へのシェイプシフトという古典素材だとは思わなかった。ナイトクローラーがハウリングになる感じ。見ながらじっさいそっちかいと独語した。

⑤デーモン79
シャマランのKnock at the Cabinに似ているけれどコメディ要素があった。
テクノロジーが出てこないからブラックミラーっぽくはないが主演俳優Anjana Vasanがいい。インド生まれのシンガポール人──とのこと。浅黒い優香という感じ。主張しすぎるギョロ目が楽しかった。

どの話でも感心するのは「このプロットを話すのにこんな装いはいらない」と感じること。
がんらい、そこまで子細な背景を構築しなくても描くことができる。が、人物の職業や社会的ポジションや脇役などの枝がしっかり作り込まれている。神は細部に宿るという感じ。さすが現代最高のアンソロジー(の6期目)だった。

全篇クオリティは高かったがスバ抜けた篇はなかったと思う。好きなのは⑤。

余談だが個人的にいちばん好きなブラックミラーはマイリーサイラスのやつ。テクノロジーやディストピアがどうこうってより、姉妹が生き生き描かれていて神篇だと思った。が、Rachel, Jack and Ashley TooはIMDBでは下から二番目だった。おれはすきなんだが・・・。(ちなみに最下位は今回の④メイジー・デイだった。)