津次郎

映画の感想+ブログ

簡便効き過ぎ黒魔術 WEAPONS/ウェポンズ (2025年製作の映画)

WEAPONS/ウェポンズ

4.0

監督はバーバリアン(2022)のZach Cregger。物語を書いたのもZach Creggerで、マグノリア(1999)とプリズナーズ(2013)とA Visit from the Goon Squadという小説からインスピレーションを得たという。
奇譚をオムニバス風に綴ったマグノリアのように少女ナレーターがホームタウンを紹介するようなおっとりしたムードではじまる。が、予想より内容はえぐかった。みっくちゅじゅーちゅだと思って飲んだウェルカムドリンクのアルコール度数が鬼だったという感じ。語り口が上手で引き込まれた。

深夜、両手を下げ翼にひろげて走って行く子供たちはなんとなく幻想的だったが、校長役のベネディクトウォンが同じ下げ翼で走ってくるところは怖かった。ただしそこは全く笑うところではなかったがちょっと笑った。おそらくベネディクトウォンが日野日出志みたいな超絶怪奇メイクで走ってきたのが怖すぎて、その怖さを和らげるために脳内でダダダダダという疾走のオノマトペを付けてしまい、その結果ちょっと笑うという反応が出てしまったのだと思う。

プロットの中核は、対象者の髪や爪、あるいは服や持ち物を使って呪いをかける魔術で、そのまじない師をエイミーマディガンが演じた。
巷では本作でのマディガンのアカデミー助演女優賞ノミネートが話題になっている。40年ぶりのノミネートは最長ノミネート間隔なんだそうだ。
ロートルならウォルターヒルのロックンロールアクション映画ストリートオブファイア(1984)を覚えておられることと思う。そこに出てくるマディガンを今でも鮮明に思い出せる。女性らしさは全くないがボーイッシュではないしマニッシュでもない。といってトランスジェンダーの気配もない。世の中にLGBTQなんてものはなくクイアベイティングもWOKEもいなかった時代の男勝りの女兵士がエイミーマディガンだった。
賞とり予測はマディガン有力になっているが是非とってほしいと思う(発表は2026/03/15)。
ちなみに映画はすでに多数のアワードで、脚本賞や俳優賞をとっている。

個人的には最近めきめき頭角をあらわしているジュリアガーナーがよかった。ガーナーはホラーやスリラーに起用されてばっかりで、どの映画に出てくるジュリアガーナーも、襲われたり虐げられたりする役で、気の毒なんだよな、というのがあると言えばある。F4でも全身銀粉サーフ女役で出演時間よりメイク時間のほうが長かったに違いない。
理知的な印象と怖がる演技がうまいことで、今後もひっぱりだこになると思われるが、たまにはジュリアガーナーが、素な女性役で、ガールフッド丸出しにしているところが見たいものだ。

バーバリアンでも感じたがZach Creggerは筋が豊富だった。展開もユニークだし、編集や映像にもこだわりがあった。アスターもピールもそうだが、意欲的な作家ほどホラーへもっていくと思う。ホラーならばアイデアをぶちまけられ、思いどおりに描くことができるからだと思う。映画なれしている人々に新しい驚きを提供するのはすごいことだ。この映画もイットフォローズやゲットアウトやミッドサマーのような新しい驚きがあった。