
TikTokなどで、外国人に見える日本人が、「毎日のように誰かから『日本語がお上手ですね』と言われる」と話している動画を、よく見かけます。
外国人に見える人であっても、日本で生まれ育ち、日本語を母語としている人は大勢います。それにもかかわらず、なぜ外見だけで外国出身だと決めつけ、「日本語がお上手ですね」と声をかけるのでしょうか。
おそらく、この言葉は褒め言葉であると同時に、会話のきっかけとして使われています。しかし実際には、相手について何も知らない人が、とりあえず差し出す定型句になっていることも少なくありません。
「日本語がお上手ですね」と言われた相手が、「私は日本生まれの日本育ちです」と答えたら、そこで会話が止まってしまう人も多いでしょう。つまり、相手本人に関心があるというより、「外国人に見える人に話しかけてみたい」という気持ちが先に立っているのです。
同じ経験を語る動画を、私は繰り返し目にしました。多くの投稿者は、深刻な被害としてではなく、少し滑稽な日常の出来事として紹介しています。
しかし、私はそれほど無害な現象だとは思いません。外見だけで相手の出自や言語能力を決めつける行為だからです。善意から出た言葉であっても、何度も繰り返されれば、「あなたは日本人には見えない」と言われ続けるのと同じ負担になり得ます。
とくに、面識のない男性が女性に近づく口実として使う場合には、単なる褒め言葉ではなく、ナンパやつきまといの入口になることもあります。相手が会話を望んでいない様子なら、そこで引くべきです。
外国人に見える人に話しかけること自体が悪いわけではありません。ただ、外見を見ただけで「日本語がお上手ですね」と言うのは、そろそろやめたほうがよいのではないでしょうか。話しかけたいなら、その人を一人の人間として見て、普通の話題から始めればよいと思います。