津次郎

映画の感想+ブログ

ストイックな決意と粘り強さ SISU/シス 不死身の男 (2022年製作の映画)

3.7 タイトルのsisuとはストイックな決意と粘り強さをあらわすフィンランドの概念──だそうだ。 1944年の9月から1945年の4月にかけてフィンランド、ドイツ間でラップランド戦争というのがあった。映画の舞台はそこだが前線から離れたところで初老の男が愛馬と…

悪魔との契約 プラダを着た悪魔 (2006年製作の映画)

3.3 旧作なのにネットフリックスの映画ランキングに入っていたので見た。 ジャーナリスト志望だったアンディ(ハサウェイ)がファッション雑誌“ランウェイ”のアシスタントとして雇われ編集長ミランダ(ストリープ)からさんざんな扱いをうけることと並行して…

この邦題なんとかして それでも私は生きていく (2022年製作の映画)

3.5 なぜ配給会社の命名センスにいちいち気分を害されなければならないのかという話です。 この映画の邦題は“それでも私は生きていく”です。 悲しみや苦難を乗り越えると次のがやってきてそれを乗り越えると次のがやってきて──そのような状況を“それでも私は…

カペナウム 存在のない子供たち (2018年製作の映画)

5.0 あらためてみると演出は冷静だった。裁判所で陳述がなされた後に、その成り行きがフラッシュバックのように描かれる。証言と過程が羅生門のようにセットで進行していく。 さいしょの両親の陳述の時には、既にすべてが済んだあとで、ゼインはじぶんを産ん…

禁じられた姉妹たち 裸足の季節 (2015年製作の映画)

4.2 徹底的に自由を束縛される5人姉妹。 最初のきっかけは少年の首にまたがった(肩車をしてもらい騎馬戦をした)ことを股間を首におしつける淫らな行為とみなされて幽閉される。以後、因襲か宗教か世間体かあるいは僻地の閉鎖性によるものか、なんなのかわ…

繁栄と没落 ブラックベリー (2023年製作の映画)

3.3 ブラックベリーは①遊び場の崩壊と②恫喝が物言う社会および③最高責任者が重なる企業の弊害を描いている。 工学系オタクだったマイクとダグがカナダに設立したソフトウェア開発会社RIM(Research In Motion Limited)に野心的な実業家のジムが介入してくる…

怪物は誰だ? 怪物 (2023年製作の映画)

5.0 幼少期に好ましいと感じる同性がいたとしても、それは性指向じゃない。 幼い時分には、女の子のような男の子がいるのは普通であって、そういう子と仲良しになったからといって、それはぜんぜんLGBTQとかの話じゃない。まして柊木くんのようなくりくりし…

白兵戦が熱い バッドランド・ハンターズ (2024年製作の映画)

3.2 地震をおこして能書きそこそこでさくっとディストピア設定をつくる。衣装はボロでいいし舞台は廃墟でいい。ヒロインとマ・ドンソクをもってきたらとっとと憎まれ役をだしてマッドサイエンティストを絡ませて全面戦争やって懲悪してめでたしで一丁あがり…

正真正銘くそえいが せかいのおきく (2023年製作の映画)

1.0 差別を誘発する弁解がましさというものがあります。汚穢屋は人糞処理をあつかう立派なしごとにちがいありません。が、汚いので毛嫌いされます。しかし下水道のない時代、糞尿汲取人がいなければ衛生を担保できず、堆肥も供給されません。人のいやがる仕…

お面が大事 ザ・クリエイター/創造者 (2023年製作の映画)

3.4 戦場は“新アジア”で見た目はベトナム。よってベトナム戦争を自己批判しながら、地獄の黙示録とブレードランナーを合わせた印象で、アルフィー=ニルマタはカーツ大佐であり、シュミラントはレプリカントだった。 要点はアルフィーが見目麗しい子供である…

遭難者救出ドラマ インフィニット・ストーム (2022年製作の映画)

2.6 imdb5.2、Rottentomatoesのトマトメーターはなくオーディエンスが55%だった。手堅そうなプロダクションでナオミワッツなのに低い評価・・・に興味そそられて見た。 山岳救助ボランティアのパム(ナオミワッツ)が遭難者を助け出す話。 おそらく低評価の…

ねっとり血糊のゴア満載 哭悲/The Sadness (2021年製作の映画)

3.4 ロブ・ジャバスはカナダ人ながら台湾の映画監督&アニメーター&ライターだそうだ。 強烈なゴア要素満載の感染症ホラー映画。ShiversやRabidの時代のクローネンバーグみたいな淫靡な要素も珍しく、やりすぎのサディズムとマゾヒズムがコメディにもなって…

大人は判ってくれない イノセンツ (2021年製作の映画)

4.0 テルマ(2017)の脚本家が監督にまわってつくった映画。 少女アイダは引っ越し先の団地でテレキネシスやテレパシーがつかえるベンやアイシャに出会う。自閉症の姉アナも精神感応ができるようだ。 当初はあそび仲間だったベンはサイコパス気質があり、能…

学校がもたらす残酷性 CLOSE/クロース (2022年製作の映画)

ネタバレ有り

福田組 今日から俺は!! 劇場版 (2020年製作の映画)

2.0 原作漫画の初版は1988年。映像化でリバイバルヒットしたらしい。賀来賢人や仲野太賀が楽しい。みんなのびのびやっているのに笑えるクオリティなのはさすが福田組だった。演者は学生よりも二回りor三回り年上で、それが全体のテンションをオフビート&リ…