津次郎

映画の感想+ブログ

スカーフェイスにも劣らぬF*ckカウント アンカット・ダイヤモンド (2019年製作の映画)

アンカット・ダイヤモンド

4.0
スカーフェイスのFuckカウント動画が196回だったが、並ぶか、むしろ勝るかもしれない。正直、面白さの解りにくい映画だが、Imdbもtomatoesも高評価だったので、歯がゆかった。海外で賞揚されているとき、その根拠を解りたいと思う。絶賛なら尚更である。なぜ、面白いのかを知りたい。

波状のごとく破綻してくる。映画の時間のなかでさえ、毎秒ごとに、窮地へ落ちていく。それらが、自業自得で、おこる。
嘘と、その場しのぎのごまかしと、不貞と、開き直りと、不機嫌と上機嫌と、果てしない強欲。そのこうばしい人物像が、めまぐるしいカットとけたたましいセリフによって、描かれる。
だが、その活写に、スコセッシのようなぐいぐいの引きはない。なぜ、ないのかといえば、ばかなやつだなあ──が勝ってしまっているからだ。

勝ってしまっている、とはいえ、それを演じているのがアダムサンドラーなら、いつもアダムサンドラーが演じてきたキャラクターであって、同時に、いい女をつかまえておけるのも、アダムサンドラーの映画なら──と納得はできる。しかし本国だってサンドラーのアンチは多い。だから、なおさら、高評価の故由が知りたい。

と、思って見続けていると、エキサイトメントの曲線が上がってくる。鳴かず飛ばず、数円をうろうろしていた株が、KGのゲームが始まると、急峻に上がり始めて、青天井になる。
x軸に下ぶくれを呈しながらキュンときれいに弧を描いてy軸を抜ける曲線は、あたかもJulia Foxのけつのようだ。なんていい女なんだろうか。

が、ラストはもっと刺激的。
映画に対する印象が見たこともないほど鮮やかに逆転する映画。
なぜ、面白いのか、解りすぎるほど、解った。