津次郎

映画の感想+ブログ

代用になりえるのか アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド (2021年製作の映画)

アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド

3.5

ダンスティーヴンスが美男のアンドロイド役。スティーヴンスは靴職人と魔法のミシン(2015)でもアンドロイドじゃないが美男代表みたいな感じででてきた。イギリス人だが新顔としてアメリカへ進出したThe Guest(2014)からスティーヴンスは置き物風な美男扱いをされることがあった。だがじっさいは技芸巧手かつ苦労人だ。顔がぱりっとしていてぱりっとしすぎているからキャラクターが限定的になっているがちゃんと見れば内容のある俳優なのが解る。ダウントンアビーを追っていた人なら自明のことだろう。充てられる役とはちがい愛妻家としても知られている。

ここでのスティーヴンスは置き物風美男子な見た目を生かしつつ芸達者ぶりもみせる──とても解った使い方をされている。ドイツ語に堪能なところからして驚いた。

アンドロイドといってもSFではないのでテクノロジーやハードウェアとしての辻褄は抜け落ちている。
もっていきたいところはロマンチックコメディというより思いやりやメランコリーで、思い出がヒューマニズムを形成していることに意味を見いだそうとしている。とてもよく書けているが洗練されすぎでじぶんのような労働者には食い足りなかった。

Maria Schrader監督がShe Said(2022)のまえにつくった映画。
She Saidのレビューでも書いたが本作も女性がつくったことがわかる映画だった。ただしフェミ観点には立っていないので男を責めるパラメータはない。格違いの大人度を漂わせつつ、柔らかく主張する。どこがどうってことは言えないのだが女性がつくっていることがわかる紗が全体を覆っていた。
かえりみるにMeToo運動のきっかけとなった話にフェミを介入させたら鼻息の荒い映画になってしまったにちがいない。しなやかなMaria Schrader監督にShe Saidをふったプロダクションは慧眼だと思った。

ドライブマイカーが受賞した2021年のアカデミーに出品されている。
Imdb7.1、RottenTomatoes96%と82%。
グレタガーウィグ似の主役Maren Eggertのほかサンドラヒュラーもでていた。
スティーヴンスはほかにフランス語も話せるそうだ。

ちなみに靴職人と魔法のミシンは海外で酷評に遭いトーマスマッカーシーの汚点とまで言われている。が、個人的には好き。とりわけサンドラーがスティーヴンスに変身しているシークエンスがよかった。俺もスティーヴンスの顔でバーとか行ってみたい。