津次郎

映画の感想+ブログ

2019-01-01から1年間の記事一覧

ひとりキャンプで食って寝る(2019年製作のドラマ)

https://amzn.to/3Hg2owS ターゲットのわからないドラマだがまったりできる。何気なく見た回に北香那という女優さんが出ていた。不見識だったのだが巧くて瞠目した。嬬恋あたりでライセンス持ってて猟銃提げている。家はにんにくをつくっているらしい。とこ…

グランメゾン東京(2019年製作のドラマ)

3.0 個人的にははじめてみる女優さんなのだが吉谷彩子が出ると画面がパッと明るくなる。気負わないキャラクターでもあるが、演技にも気負いが見られない。まるで素のような自然体。ほとんどひとりでドラマ全体を朗色に変えている。逸材とはこういう人を言う…

ヒッチコックみたいなダニーボイル シャロウ・グレイブ (1994年製作の映画)

3.8ケリーフォックスといえば初主演のエンジェルアットマイテーブルで既に大女優だった。この映画を見ると若い頃のアグレッシブな魅力がよくわかる。射るような碧眼をしている。威嚇してるわけじゃないのに威嚇できるキャットアイだと思った。また対人恐怖症…

モラトリアムに刺さる ヤング≒アダルト (2011年製作の映画)

4.0わたしの高校には卒業生ぜんたいのパーティーがある。300人くらいになるので、大味なことになる。おちついて話というより、名刺交換しまくるとか、お酌にまわるとか、ただ側にいる知友と話していることもできるが、それにしても踏み込んだ話はしない。 世…

懐かしいあいつみたいな 横道世之介 (2013年製作の映画)

5.0見たときは、それほど印象は強くなかったのだが、数年経って、じわじわと、あれはいい映画だった、と思い出した。まるで、映画のなかの人たちがみんなして横道世之介のことを回想するように、この映画を思い出した。それでまた見た。 日常のなかで、過去…

いいかんじのホラーテイスト アンダー・ユア・ベッド (2019年製作の映画)

3.8氷菓を見たとき「おや」と思った。この映画が原作の面白さに依存しているのは解る。また、かの京アニの厖大な仕事をそのまま絵コンテにしているのも解る。ただし、個人的に、映画は面白かった。山崎賢人マイナスがあったけれど、本郷奏多プラスがそれを覆…

意外!すごくいい 氷菓 (2017年製作の映画)

4.5原作は読んでいません。 ちなみに私はこれを先に見ました。後になってアニメ版の氷菓も見ました。とくにアニメ好きではありません。ただ宮崎駿や新海誠や押井守や細田守など著名なアニメーターのネームバリューにつられてアニメを見ることはあります。ゆ…

じわじわと不安をあおる インビテーション/不吉な招待状 (2015年製作の映画)

4.0日常で、こいつ変だぞ、こりゃ何かおかしいぞ、って人や事がある。それでも、なんとなく、多数派同調性バイアスや公衆意識が、それを日常のなかに納めようとする。だいじょうぶっていう自分もいるし、ヤバいよっていう自分もいる。大災害なら、それが生死…

いいシェフほど非庶民的 二ツ星の料理人 (2015年製作の映画)

3.3エンタメニュースでキムタクの新ドラマとこれの類似性が指摘されていたので観た。確かに似てた。かつて失敗をやらかして敵も多くて傲慢な調理界の異端児が、水滸伝よろしく仲間を集めて三つ星を目指す。だいたい話も同じある。その性格に協調性がほしいと…

あきらかに珍奇 モンスター 変身する美女 (2014年製作の映画)

4.0妙に残っている映画。イタリアを旅するアメリカ人。金はないがきままなバックパッカー。が、出会ったヨーロピアンな麗人。恋に落ちる。 それらが順当に展開するので、そのあとにくる異形譚におどろく。彼女はじつはモンスター。なんかタコっぽやつ。トラ…

ほっこりする 恋のクリスマス大作戦 (2004年製作の映画)

3.5ベンアフレックというひとはまぬけな役のときかわいい。長身を手持ちぶさたにしているときジミースチュアート的人の良さがにじみ出る。この映画はおよそ十把一絡げにされるクリスマスジャンクだが、妙に残っている。リアリティがなくてハートウォーミング…

役者が揃っていて、みんないい 世界にひとつのプレイブック (2012年製作の映画)

4.0ジェニファーローレンスには素が感じられない。じぶんを演出しちゃうタイプで顕示欲が強そう。貞淑でなくスラッティー。芯が太く、気が強く、上昇志向がある。優柔不断ではないが、素直さに欠ける。 オスカーを獲ったのは、おそらくティファニーがジェニ…

濡れ場もなにもかもが長い ジョー・ブラックをよろしく (1998年製作の映画)

3.2かつて話題になったが終ぞ見ていなかった。ミッドナイトランという映画が好きでマーティンブレストにウォルターヒルのような乾きやアクションを期待したが、これは濡れっぱなしのラブストーリーだった。映画そのものも長く、情交シーンも長く、寄ったカメ…

音声スキャンで書かれた 潜水服は蝶の夢を見る (2007年製作の映画)

4.0正直なところ、片眼球しか動かない四肢麻痺の患者にたいして、ここまで献身的なことに感心した。よく知らない世界だが、もっと素っ気ない待遇をされるような気がしたからだ。ましてあの方法で本を書かしめたことに驚いた。とうぜん財力にも依るのだろうけ…

切実な反骨精神 ルディ・レイ・ムーア (2019年製作の映画)

5.0ブラックスプロイテーションと言えば日本ではこまっしゃくれた映画愛好家が能書きをたれるカルトだが、この映画を観ると、かれの動機が切実で原始的なことがわかる。 カルトとは観衆が見いだすもの──である場合が多い。ロッキーホラーショーしかり。The D…

まさにこれからブレイクするふたり いま、輝くときに (2013年製作の映画)

4.0マイルズテラーとシェイリーンウッドリーがブレイクした映画。すなわち、映画のなかでこれから世界に向かって羽ばたこうとする若い二人と、現実で役者として注目を浴びることが同時に起きている。それがこの映画の瑞々しさを突出したものにしている。 マ…

厨二的生意気を手堅くまとめる 響 -HIBIKI- (2018年製作の映画)

3.5平手友梨奈には反抗とか青春のRAGEのような雰囲気があり、それがこの映画の主人公と合致していました。アイドル平手友梨奈も、原作の鮎喰響も、創られたキャラクターですが、適役の感がありました。おそらく、ミスキャストを回避している珍しい──コミック…

「変」に迫真を ロブスター (2015年製作の映画)

4.0荒唐無稽な設定、というものがある。 一所に集められた他人同士が殺し合うバトルロワイヤルみたいなのとか、鬼ごっこで殺し合うやつとか、人狼を探すのとか・・・みんな同じだろ、とも言いたいが、少しずつ異なっているらしい。ただ、映画となるとどれもB…

つたなくて未熟。天才?ばかにすんなや わたしたちの家 (2017年製作の映画)

【突然変異的に現れた天才映画作家による清新で鮮烈なる劇場デビュー作】清原惟監督『わたしたちの家』2018.1.13(土)渋谷ユーロスペースほか全国順次公開!!https://t.co/ihIRlDKVGl■第39回ぴあフィルムフェスティバル「PFFアワード2017」グランプリ受賞■第69…

保安検査通過のお手本 マイレージ、マイライフ (2009年製作の映画)

4.0アメリカの都市型ホテルではビジネスやライフスタイルの小ネタ講演会が毎日のようにスケジュールされている。講師は客員ではなく、この映画のライアンビンガム(ジョージクルーニー)のように、そこに泊まっている現役ビジネスパーソン。講師としては素人…

人生ではじめて見た映画 レイズ・ザ・タイタニック (1980年製作の映画)

3.0初めて映画館で観た映画がタイタニックの人は多い、と思う。 タイタニックよりも17年昔、私が生まれて初めて映画館で観た映画はこれだった。当時、お正月の全国ロードショーで大々的に宣伝されていた。ポスターが伝えていた見所は、浮上する巨大客船のス…

まいどのこけおどし 愛なき森で叫べ (2019年製作の映画)

2.0策士と、彼に嵌められた人たちが翻弄され、赤軍の総括や嘱託殺人のように混沌としてゆく様子が描かれている。 人物は過剰だが、想定の内側にある。奇矯を気取ってはいるものの、普通の悪人であって、意外な方向へは進まない。さんざん狂乱は見せられるけ…

内幕の雰囲気が楽しい グッドモーニングショー (2016年製作の映画)

4.0テレビ番組製作の内幕──そこで働く人たちの躍動がリアリティに溢れ、それに加えて、ぐいぐいな演出が瞠目だった。面白くて、びっくりした。 wiki見たら君塚良一は踊る大捜査線シリーズを手がけた監督だが、主にテレビ畑の来歴だった。祈りの幕が下りる時…

出番はもはや始球式だけ 貞子 (2019年製作の映画)

1.5ハリウッド進出もいまいちで、それから自分が観たかぎりですが、クロユリ/モンスターズ/劇場霊/ホワイトリリー/終わった人/スマホを落とした~/殺人鬼を飼う女・・・どれも、しょうもない映画でした。映画監督という職業はひとつふたつ傑出していると、あ…

ブラッシュアップした チャイルド・プレイ (2019年製作の映画)

3.0チャイルドプレイなんて見んでもわかる気がするのだがオーブリープラザのクレジットに惹かれた。オーブリープラザは変で楽しい女優だが、シリアスムードには向かない。必然的にホラーも向かない。だが、コミカルな妙味になる。はたして嵌まりのシングルマ…

かっこいいキムタク マスカレード・ホテル (2019年製作の映画)

4.1刑事がホテルマンに扮して潜入捜査をする。この設定には心躍るものがあった。キャスティングも当代きって人気者で、映画館でトレーラーを見たときから、見たい度が高かった。 散髪をしてオールバック風にしてビシッと制服を着たキムタクが超かっこよかっ…

感動 プライベート・ライアン (1998年製作の映画)

5.0 人には感じ取り方の違いからくるどうしようもない温度差があって、わたしがいいと思った映画でも、相手にはそれほどでもない、ということは、よくある。当時、わたしはまだ若く、若さゆえに、いいと思った映画を周囲に喧伝するほど無邪気だった。この映…

贅沢なコンプレックス トールガール (2019年製作の映画)

2.8素敵な人なのでコンプレックス克服のシンデレラ曲線が弱い。高すぎる鼻、引っ詰め髪、聡明さと北欧チックな暗さをあわせもつ顔、いずれもハッとするような新しい魅力があった。陽気な親友ファリーダも楽しかった。姉は米じゃ超人気者だが姉妹とするには無…

テレビ畑の監督は巧い 七つの会議 (2018年製作の映画)

4.0祈りの幕が下りる時を見たとき福澤克雄は本物ではないかと思ったのだが、テレビ畑の人らしく、本物を裏付ける映画本数ではなかったので、ラックなのかなとも思った。しかし本作を見て本物を確信できた。きょうび日本映画で実力を感じる監督を新しく見いだ…

スノビズム 海のふた (2015年製作の映画)

1.0売り上げにこだわらず、こだわりのものを、自分なりの方法で提供するカフェを、地方でのんびり経営していく──そんな「クオリティオブライフ」を夢見ているひとが、おそらくごまんといることでしょう。 わたしも日々サービス員をやりながら、そんな「理想…