津次郎

映画の感想+ブログ

ダミー(2001年製作の映画)

3.5
Milla Jovovichはバイオハザードで大成功した女優だが、大味な商業映画にキャスティングされてしまうという弊害を背負った──のかもしれない。だとしても一線で活躍している以上、何ら問題はないが、この映画を見たときはちょっとした衝撃があった。

バイオや他の映画ではぜんぜん気づくことができないが、ものすごく演技がうまい。びっくりするほど。そもそもアリスアバーナシーだと気づけない。これはMilla Jovovichだよな。Milla Jovovichの顔してるし。え、いや、まてよ、でもやっぱり・・・そう反問してしまうにちがいない。

ファンゴラは粗雑で迂愚なキャラクターである。が、それを意に介していない。明解な自分をもっていて、ためらうことがない。
助演とはいえ、生き生きとした彼女がぐいぐい突出してくる。
設定とはいえ、主演ブロディとファーミガが押され気味になる。
しかもファンゴラの出番はおそろしいほどすくない。

感じたのは女優が映画に合わせる、ということだ。
女優なれば、とうぜんのこと──であろうけれど、Jovovichが演技力の爪を隠さなければならない映画は山ほどあったと思う。
James Francoには、Future World(2018)というラズベリーな映画があるのだが、そこでのJovovichもZ級映画に自分を落として演るわけである。

数年前、日本のお茶の間で人気の芸能人がバイオハザードのシリーズに出演したとき、来日したMilla Jovovichやアリラーターたちと大々的な凱旋プレミアをやった。
映画は未見なのだが、下馬評によれば、芸能人がどこに出ているのか判らないほどの端扱いだという。
が、動画で見たプレミアには芸能人の人気を追い縋って、他にないほどの予算がかかっていた。

そこでもJovovichはため口が売りの芸能人のレベルに迎合している。
ハリウッドの女優がTPOを心得ているのはとうぜんだし、役をどのように取捨選択しているか知る由もない。また良人が、一貫してB級路線のアンダーソン監督なので、おそらく当人も商業的スタンスを意に介していない──のかもしれない。
ただ、演技が必要なハウス系映画にまた出演してほしいと思う。