津次郎

映画の感想+ブログ

弾をよける映画 マトリックス レザレクションズ (2021年製作の映画)

マトリックス レザレクションズ(吹替版)

3.0
マトリックスぜんぜんきょうみなくてはじめて見た。

──と言うと、あるあるのYouTuber(ちくわとか)に、
「人気作にぜんぜん興味ないアピールで孤高の世界観だそうとしているレビュアー」
と揶揄されそうですが、ほんとです。
(もちろんわたしは誰にも知られていない過疎レビュアーですが)

とくていの人がとりやすい恥ずかしい習性をあるあるといいます。
いまの社会ではあるあるが浸透しているため、たいていの人はあるあるになってしまう行動や言動をさけるようにしていると思います。

よく素人がやってしまうあるあるはじぶん語りです。ヤフコメ民などが虐待やいじめや体罰報道に「おれもむかしやられてた」というようないわゆる「壮絶な過去」をひけらかすことによってマウントをとりたいときにつかわれます。

「マトリックスぜんぜんきょうみなくてはじめて見た。」というのも一種のじぶん語りだと思います。

ただわたしは「マトリックスぜんぜんきょうみなくてはじめて見た。」をレビューを読み進めてもらうためのきっかけとしてつかっています。

わたしのマトリックスたいけんは北野武の監督ばんざい(に出てきたマトリックスパロディ)を見て「マトリックスってすごくはやっているんだな」と感じたていどです。

けっして「人気作にぜんぜん興味ないアピールで孤高の世界観だそうとして」いるわけじゃありません。

あるあるが浸透しているために、こんなことを説明/弁解しなきゃならないわけですが、マトリックスを見たことがない人がマトリックスをみたばあい、どうなのか──が興味のきっかけになることをねらって「マトリックスぜんぜんきょうみなくてはじめて見た。」と言っただけです。

もちろんわたしは誰にも知られていないレビュアーなのでこれらのすべてが「だからなんなの」ではありますが、とにかくはじめて見た。──のです。

前述した監督ばんざいのマトリックスパロディのように、マトリックスパロディといえばスローモーションで弾をよけるばめんです。完全に定番です。

わたしは「マトリックスぜんぜんきょうみなくてはじめて見た。」わけですがマトリックスパロディはかんぜんに世の中に定番化していたのでロングコートのひとがスローモーションで弾をよける場面はそれこそ目がくさるほど見てきました。

で、じっさいマトリックスを見てみたら、スローモーションで弾をよける映画だったのです。

わたしは最初「スローモーションで弾をよけること」は、たんにマトリックスの枝葉のシーンに過ぎないだろうと想像していました。映えがするシーンゆえに、パロディに取り上げられたのだろうと予測していたのです。
が、しかし「スローモーションで弾をよけること」はマトリックスにおいて相当大きな成分を占めていた──とじっさい見て感じたのでした。

もちろん、続き物の映画になっているので、はじめて見たわたしにはほとんど話がわからず、ぜんたいがつかめなかった──というのもありますが、それにしても「スローモーションで弾をよけること」はマトリックスの主要成分だと思いました。

ただし、この意見があるあるに属してしまうかもしれないことは解っています。映画レビュアーがおかしやすいあるあるに「独特な感性をアピールするために名作や人気作をけなす」というのがあります。
人々が絶賛しているものにたいして「たいしたことねえぞ」みたいな態度をとる厨二なあるあるです。

しかしわたしは正直なところをもうしあげています。マトリックスレザレクションズは「スローモーションで弾をよける」映画です──と言っても過言ではありません。それをお認めいただけるひとも多数おられると予想しています。
ですが、楽しく見ました。画はスタイリッシュで、笑わせる気配がないリーヴスとアンモスが、わりと笑わせるのがいい感じでした。

つけくわえるとメジャーなタイトルに交代期を感じます。
007を見てゴーストバスターズ(アフターライフ)を見てこのマトリックスを見て、誰もが知っている映画たちが交代期にきていることを感じたのです。

これは、たんじゅんな続き物がもはやできない──という意味でもあります。
なにしろこのレザレクションズを見ていて一番類似をかんじたのは男はつらいよお帰り寅さん(2019)です。
続きが回顧でいけることもありますが回顧は続けられません。やはり交代期だから──なのです。次世代や新シリーズや後進へ譲るとき──なのだと思います。