津次郎

映画の感想+ブログ

2022-01-01から1年間の記事一覧

Buffyのほうがいい デイ・シフト (2022年製作の映画)

2.6バンパイアハンターでバディもの。肉弾戦がみどころ。監督のJ.J. Perryを検索したら80年代からの古豪スタントマンで監督業は初めて。まさにスタントマンが撮った感じの映画で身体を張ったアクションが主役。感興よりもねぎらいの気持ちがわく映画だった。…

ずっこけなちーむ 355 (2022年製作の映画)

2.0巨大なプロダクトのばあい、監督の力量が補完されるような気がしていた。つまりアベンジャーズとかスターウォーズとかバットマンなどの大作映画には凡打がない。それは大資本映画では“ハリウッドシステム”のような作用がはたらいて監督の力量不足が補完さ…

昭和感覚 轢き逃げ -最高の最悪な日- (2019年製作の映画)

1.0感覚が昭和。輪郭をゆるくしてフィルムダメージを入れたら1970年製作の映画──で通る。台詞ぜんたいにそこはかとなく“昔の人たちの会話の気配”が漂ってしまう怪。作為のレトロではなく、感覚に染み付いてしまったレトロ。ある意味、衝撃的だった。 愁嘆場…

ブリタニーマーフィ? 2つの人生が教えてくれること (2022年製作の映画)

3.2人生にしっぱいしたわたしは、大きな節目となる分岐路に“多様性”という悪魔のささやきがあったことに気づいている。 たとえば大学進学にしっぱいしたときには「学歴なんてなくたって大丈夫、篠沢教授よりはらたいらのほうが賢いじゃないか」というささや…

下痢注意! ウェディング・ハイ (2022年製作の映画)

1.0披露宴にまつわる人間模様。群像劇で“あるある”ネタを羅列する。 会場/ドレス/テーブルクロス、あらゆる選択にたいする男女の温度差、“クリエイター”になれなかった人間の自尊心を充足させる「紹介ビデオ」の製作、スピーチを依頼された上司らの心理劇、…

自分と向き合う 僕と頭の中の落書きたち (2020年製作の映画)

3.6豊かな個性と卓越したお料理スキルをもつアダム(Charlie Plummer)だが、統合失調症と診断される。高校で恋におち、病を秘密にしようとするけれど、うまくいかず・・・。 はたからみると異常にしかみえないアダムの苦悩がよく伝わってくる映画だった。ヒ…

ゲームのCinematic Trailerみたいな ラブ、デス&ロボット シーズン1 (2019年製作のアニメ)

3.0 一個見てエグいクオリティにおどろいてWikipediaをしらべた。 『カナダのアニメ映画『ヘビーメタル』のリブート作品として2008年に企画が立ち上がり・・・』とあった。なるほど。 2019年にシーズン1がNetflixで公開された──とのことだが、今(2022年)ま…

への字眉 ブラッディ・リベンジ (2017年製作の映画)

2.5ロートルな映画ファンなら記憶があると思うがイーストウッドが愛した人と言えばソンドラロックである。病的なほど華奢(きゃしゃ)で眼がギョロリと大きい。のっぽなイーストウッドとならぶとハリーキャラハンにつかまった家出少女に見えた。 この映画の…

N某党みたいな ゴヤの名画と優しい泥棒 (2020年製作の映画)

3.6 「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル監督の遺作と紹介されていた。検索したら没年月日が2021年9月22日となっていて、ミッシェル監督が本作について語ったインタビュー映像をみつけた。 『主人公のケンプトンはニューカッスルの住人でタク…

MV風 ベルファスト (2021年製作の映画)

2.8ウィキペディアに『ブラナー監督の半自伝的な作品である。』とあった。出自をあつかった思い入れの深い主題で、撮影も演出も俳優もいい。 RottenTomatoesが88%と92%、IMDBが7.3。批評も成功していて、映画は高い次元で達成されていると思う。 が、個人的…

不思議な美しい世界 カモン カモン (2021年製作の映画)

5.0 見たことないようなきれいな白黒映画。解像度が高い。景観も構図もいい。 お熱いのがお好き(1959)が白黒なのはジャックレモンとトニーカーチスの女装の見た目のどぎつさを和らげる目的があった──とは有名な話だが、今の時代、映画を白黒にするのはなぜ…

眉毛と生命力の相関性 ブリーズ 〜息を止めないで〜 (2022年製作のドラマ)

2.6 未開地に墜落してサバイバル。 The Forestというゲームをやったことがある。飛行機が食人鬼が潜むジャングルに落ちてクラフトしながら掠われた息子をさがす──オープンワールドのホラーゲームだった。 ドラマでもゲームでもサバイバルしなければならない…

“共感性羞恥耐性”を鍛える 子供はわかってあげない (2020年製作の映画)

1.0 さいきん共感性羞恥心という言葉をよく見かける。 ネットには、『共感性羞恥とは、他人が恥をかいたり失敗したりする姿を見て、自分まで恥ずかしくなること。』──と説明されている。 誰にでもある感覚だが、それを感じすぎる場合、HSP(Highly Sensitive…

なめ茸とツナの“容器”がわたしたちにもたらす苦悩

多くの人がなめ茸とツナの和え物がうまいことを知っている。炊き込みご飯にもいいしおつまみにもいい。パスタソースでもいける。 人はそれぞれ、様々な基準で食品を買う。好みや値段や健康にもとづいて選ぶ。わたしの場合、それに加えて紙ゴミ又はプラゴミに…

韓国ノワール風レディプレイヤー1 操作された都市 (2017年製作の映画)

3.5ゲーム中は熱くなるので“ゲーム実況中の暴言”が後を絶たない。先日も、炎上とは無縁とされてきた老舗YouTuberがゲーム実況中の暴言によって炎上した。 いまやゲーマーは認知された職業だが庶民的とは言えない。これは“古くさい考え”などではなく、お父さ…

田舎という地獄 リアリズムの宿 (2003年製作の映画)

4.0遠藤憲一、光石研、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊が出演するバイプレイヤーズというドラマがあったが、たしかに脇役(byplay)で鳴らしてきた人たちの集まりだったが、かれらはすでに大御所でもあった。それぞれ主役をはったことがあり、脇役だっ…

酔狂な絵巻物 フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 (2021年製作の映画)

3.7カットごと構図をキメるのが小津っぽい。すべてが意識的な矩形(スクリーンorモニター)の絵になっている。その“絵”がマンガのように次々に切り替わってストーリーが語られる。芸が細かく、ウェス・アンダーソン監督、病状がさらにすすんでますね──てな感…

やること派手だけど グレイマン (2022年製作の映画)

3.6寡黙でどことなく寂しげなライアン・ゴズリングって「これぜったい母性本能くすぐるんだろうな」という顔をする。──そんな孤独が似合う男ゴズリングの一騎当千なスパイアクション。 だが気になったのはクリス・エヴァンス。ナイヴズアウトのときも思った…

無欲な歌声 コーダ あいのうた (2021年製作の映画)

4.0きょうび、ネットに帰属するわたしたちがいちばん腐心していること──といえば、自然さである。 ほんとは、ぜんぶ作為でやっている。 たとえば美容系インフルエンサーが一日をつづった動画は、寝室にカメラをセットして、いかにも起きました体で起きる。そ…

なんか中二くさい 流浪の月 (2022年製作の映画)

2.5松本は民芸の町。佐伯文(松阪桃季)がやっている喫茶店のように、味わいのある家具や調度の飲食店群がじっさいにも軒を連ねている。とくちょうは無骨。エレガント/華奢/カラフル等とは逆で、どっしりと庶民的、黒や木調の鈍い色合いで、骨太な主張がある…

ポップが演歌になった感じ 六本木クラス (2022年製作のドラマ)

/#六本木クラス 第3話7月21日(木)よる9時\「あなたに望みはないよ。」「夢は私が叶えてあげます。」因縁の再会そして、女の戦いが、始まるー!⚔️#竹内涼真#新木優子#平手友梨奈#香川照之#テレビ朝日 pic.twitter.com/pVZ2oTI1VB — 六本木クラス 【公式】 (…

EBPM イーグル・アイ (2008年製作の映画)

2.6youtube上にあったEBPMをテーマにした講演会で成田悠輔氏がこの映画をあげて「EBPMそのものを描いている」と述べていた。 EBPMを、ネットで検索すると、 『EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。 証拠に基づく政策立案)とは、政策の企画を…

ほっこりする仮の家族 転々 (2007年製作の映画)

5.0日本映画の課題としてどやの払拭があると思う。どやとは承認欲求のようなものだ。 たとえばテレビドラマのSPECはさいしょのころは面白かった。だが、だんだん疲弊して、やがてあざとさを感じるようになった。 『(中略)一方、今井舞は同じく『週刊文春』…

延ばした気配 フローズン・タイム (2006年製作の映画)

2.5(いまぐぐってしらべたことにすぎないが)海外(欧米英)では支払い即時に口座から引き落とすデビットカードでの決済が、クレジットカードよりも多いそうだ。 デビットカードには決済時に現金を引き出すサービスがある。 なので店舗のレジ係は支払いをす…

女性監督、長編デビュー作 声もなく (2020年製作の映画)

3.3軽トラで卵を売っている父子らしきふたりの男。組織の屍体処理を副業にしている。主収入はそっちだが、つましく生きている。 反社と田舎と底辺と暗愚。韓国映画が得意とする描写だと思う。 在方とそこにいる教養のない人、かれらが依拠する闇の世界──を描…

愛された小説の秘話 ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー (2017年製作の映画)

3.4サリンジャーを読んだことがないw。実家のじぶんにあてられた部屋の書棚に「ライ麦畑でつかまえて」があった。 上半分青く、下半分白く、らくがきみたいな顔が描かれてある。(読んだ人なら)だれもが見たことある白水社のやつだ。おそらくじぶんで買った…

腐ってもポランスキー ゴーストライター (2010年製作の映画)

3.6クリエイターの悪行をじぶんのなかでどう処理するか。という命題がある。 たとえばかつて井上ひさしがすきで読んでいたが「奥さんを殴って書く」というDV体質を知って、読まなくなった。 ウッディアレンがむかし養子に性的いたずらした件に対して、俳優は…

家族への憧憬 ベイビー・ブローカー (2022年製作の映画)

4.0 とても見たかった。 ゆるいしあまい。リアリティは置いてメルヘンをとりにいった感じ。 登場人物全員の素性がふわふわしている。生活の気配がない。ふたりの刑事なんか、ほとんど買い食いしているだけw。 でもいい。絵がとてもキマる。どのカットも是枝…

父ウィルスミス ドリームプラン (2021年製作の映画)

4.0アカデミー賞でウィルスミスがクリスロックをビンタした件で、クリスロック支持の米に対し日本人はウィルスミス支持が多数派だった。 日本ではウィルスミスの行動に、か弱い女を守った男らしさ──男気を感じた人が多かったからだ。 ひろゆきがこの現象を解…

Strange meets Evil Dead ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス (2022年製作の映画)

3.7スカーレットウィッチつええ。それに比べてイルミナティの弱いこと弱いこと。陰謀論者の大好物、最凶の「イルミナティ」がマーベルコミックの中じゃへなへなの最弱ヒーロー集団だった。 ていうか(スカーレットウィッチが)無双すぎてバランスの崩壊すら…