津次郎

映画の感想+ブログ

大人は判ってくれない イノセンツ (2021年製作の映画)

4.0 テルマ(2017)の脚本家が監督にまわってつくった映画。 少女アイダは引っ越し先の団地でテレキネシスやテレパシーがつかえるベンやアイシャに出会う。自閉症の姉アナも精神感応ができるようだ。 当初はあそび仲間だったベンはサイコパス気質があり、能…

学校がもたらす残酷性 CLOSE/クロース (2022年製作の映画)

ネタバレ有り

福田組 今日から俺は!! 劇場版 (2020年製作の映画)

2.0 原作漫画の初版は1988年。映像化でリバイバルヒットしたらしい。賀来賢人や仲野太賀が楽しい。みんなのびのびやっているのに笑えるクオリティなのはさすが福田組だった。演者は学生よりも二回りor三回り年上で、それが全体のテンションをオフビート&リ…

いろんな世代の岐路 こんにちは、母さん (2023年製作の映画)

2.7 寅次郎の周りで起きるようなドタバタを経て、ひとまずの一件落着へもっていくが、いろいろと風変わりで共感できるところは少なかった。 概説によると『母べえ(2008)、母と暮せば(2015)に続く「母」三部作の集大成』──とのことだが、どちらかと言うと…

クローンの愛 もっと遠くへ行こう。 (2023年製作の映画)

1.7 設定は2065年。地球がやばいことになったんで宇宙ステーションがつくられ、その試験プログラムに搭乗できる人が抽選で決まる。 いったん行ってしまうと2年帰れないから、地球に残る者のために、代替のクローンAIヒューマノイドが元の生活を続ける。 郊外…

転生するワンコ 僕のワンダフル・ジャーニー (2019年製作の映画)

3.7 1月2日(2024年)羽田空港でJALエアバスと海上保安庁の小型旅客機の衝突事故があった。JAL側は乗客乗員379人が脱出したが海保側に5名の死者が出た。 この事故は、後に、貨物預りのペット2匹の救出に失敗したことの報告と謝罪があったことで、犬猫愛好家…

生き別れた“父娘” ブレイブ・ロード~名もなき英雄~ (2017年製作の映画)

3.7 朝鮮戦争下でのトルコ国連支援兵と戦災孤児のふれ合いを描く。 トルコと韓国の合作で、実話をもとにしているが、短絡しながらサクサクと進む。すこぶる演出がうまく、絵も明解で人も景色もきれいで、暗くせず明るく描いてある。 映画に先立つ2010年、韓…

欺瞞を克服 A Good Person 87分の1の人生 (2023年製作の映画)

4.5 アリソン(ピュー)は運転中スマホを見たことで同乗者二人を死なせてしまう。 良心の呵責にさいなまれ、婚約も破棄して引きこもり、鎮痛剤の麻痺作用に依存するようになる。 が、贖罪の態度をとりつつも、相手側の過失による事故であり、あくまでじぶん…

底知れないヒューマニズム 雪山の絆 (2023年製作の映画)

5.0 ウルグアイ空軍機571便遭難事故を扱った映画。監督はゴヤ賞常連の名手J.A.Bayona。 Netflixの前告知を見たとき「あの事故をまた映画化したのか」という感じで意外な気がした。ウィキペディアで調べるとドキュメンタリーを含め5度映画化されていてこれが6…

蜘蛛かよ REBEL MOON ー パート1: 炎の子 (2023年製作の映画)

2.6 七人の侍のスペースオペラバージョンという印象。DUNEのハルコンネンみたいに残虐な帝国から村を守るため、星を巡って英傑が集められる。既視感のあるいろんな要素が集まっているが画から潤沢な予算は伝わってきた。 が、なぜかときめかない。傑物が出て…

見たくなる配役ライランス&ドゥイッチ アウトフィット (2022年製作の映画)

3.6 概要によると監督のGraham Mooreはイミテーションゲーム(2014)の脚本を書いた人でこれが初監督だそうだ。 緻密なセリフ回しで持って行く戯曲のような作劇法で書かれていて、この主役に演劇寄りのマークライランスが充ててあるのは道理だった。 しかし…

高校生の過労死 あしたの少女 (2022年製作の映画)

4.0 コールセンター研修での過労から自死する高校生ソヒ(キム・シウン)と、その捜査にあたる刑事ユジン(ペ・ドゥナ)の2者視点で構成されている。実話からインスピレーションを得て書かれたそうだ。2022年カンヌで上映されて以来、各所で賞をとった。 社…

一種のコメディ LOVE LIFE (2022年製作の映画)

2.4 むしろそこに陥るほうが難しいと思える状況に陥らせて哀切や情感をつづっていくのが深田晃司監督だと思います。 これもわりとインポッシブルな話だと思います。よこがおはコメディだと思いましたがこれもコメディだと思います。連れ子が不慮の死を遂げる…

研ぎ澄まされた体幹 ダンサー イン Paris (2022年製作の映画)

4.5 主役エリーズを演じるMarion Barbeauはパリ・オペラ座の主席ダンサーとのことで、6歳からバレエをやっているが映画主演ははじめてだそう。だが女優が余技というわけではなく、ちゃんと魅力ある主人公をつとめている。 公演中に足首をけがしてもう二度と…

コーガンのキモさみなぎるサイコスリラー Saltburn (2023年製作の映画)

4.0 バリーコーガンのキモさみなぎるサイコスリラー。 オリバー(コーガン)はオックスフォードに入学したとはいえ中大在学中のステハゲという感じのぼっち。対してフェリックス(Jacob Elordi)はもてもての爽やかイケめんで、コーガンは蛇のようにぬめぬめ…

やにだらけ マエストロ:その音楽と愛と (2023年製作の映画)

3.4 子供のころ指揮者という職業に疑問をもっていました。でたらめにタクトを振っても大丈夫な気がしたからです。 たとえばシンバルを鳴らすところでシンバルに向かって合図しなくても奏者はシンバルを鳴らすのではないだろうか。 楽譜もあるのだしシンバル…

ヤクで成長 ビューティフル・ボーイ (2018年製作の映画)

3.7 一定期間、鎖かなにかで繋いでおきゃいいのに。とは思う。人道的ではないが嘘ついてでも裏切ってでもなんとしてでもやるのがアディクトであるなら繋いでおくのが確実でしょうに。 ──と思ってしまう薬物依存の様子を描いている。 息子のニック(シャラメ…

リベラルのテンプレ

1、テンプレ見参 2023年1月6日、イスラム思想研究家飯山陽氏のYouTubeチャンネル「飯山陽のいかりちゃんねる」にて『【何様?!】鴻上尚史「時事通信が原稿を20カ所修正、納得できず決裂」』と題したライブがありました。 劇作家の鴻上尚史氏の以下のツイー…

「生きろ」というコピーが使えそう ゴジラ-1.0 (2023年製作の映画)

お題「おすすめの感動系映画教えてください」 5.0 <ネタバレあり>

優柔不断な父 ある日、クイーンズで (2022年製作の映画)

4.0 ネットフリックスでPaddleton(2019)という映画を見たことがある。マーク・デュプラスとレイ・ロマノがでていて、末期がんのデュプラスが安楽死するのを、ロマノが看取るという話だった。 副題がA Comedy of Dramatic Proportionとなっていて死ぬ話が軽…

惨劇 福田村事件 (2023年製作の映画)

2.0 いまの世で言うリベラルとは日本叩きや自虐を身上とすることであり、マスコミはだいたいリベラルだと思います。リベラルは時には自らを加害者だと告発しますが、同時に弱者(被害者or犠牲者)に寄り添うポジションに陣取ります。寄り添いポジションをと…

忘年の交わり メタモルフォーゼの縁側 (2022年製作の映画)

4.0 どうせいつもの日本映画なんだろうと思って見た恋は雨上がりのように(2018)がよかった──のと同じで、このメタモルフォーゼの縁側も期待しないで見たがよかった。 ふたつともまんがを原作にしているので引き合いにした。 テレビ系の監督なので日本映画…

アーミッシュのような共同体 ウーマン・トーキング 私たちの選択 (2022年製作の映画)

3.5 プロテスタント一派の共同体。暴行事件をきっかけにコロニーを去るか、戦うかを話し合う女達。 アーミッシュのような世界だがタイトルの通り話し合いに占められていて敵=男がでてこない。細部が省略され舞台劇のようだが、実話にもとづいた話だそうだ。…

修羅場好きな人向け ほつれる (2023年製作の映画)

1.0 綿子(門脇麦)と文則(田村健太郎)は文則に連れ子がいるものの都市型のDINKsという感じ。夫婦仲は破綻しているが別れずにいる。綿子は木村(染谷将太)と定期的に不倫旅行をしているが、その最中に木村は交通事故で死ぬ。一緒にいたことがバレてはまず…

フレンズの最終回と 終わらない週末 (2023年製作の映画)

3.2 ある朝、人間嫌いのアマンダ(ロバーツ)は突発的な休暇を思いつき、家族でロングアイランドの借家へ出かけるが、不思議な現象に遭ったり、住人が戻ってきたり、混迷をきわめる。 綺譚なのか戦争なのか判断できない。シャマランのような超自然現象を描い…

利権に群がる キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン (2023年製作の映画)

4.0 オーセージ族の居住地に石油が出て未曾有の好景気に湧く。戦時中糧秣をやっていたアーネスト(ディカプリオ)が職をもとめてヘイル叔父(デニーロ)の牧場へ帰ってくる。ヘイルは石油の受益権を得るためにアーネストをそそのかして血統を片っ端から暗殺…

グルーミングの手口 ダイブ (2022年製作の映画)

4.0 飛び込み競技のスポ根映画かと思って見始めたが、いわゆるグルーミングを描いた映画だった。 『性犯罪・性的虐待の文脈におけるグルーミング、チャイルド・グルーミングとは、性交や猥褻行為などの性的虐待をすることを目的に、未成年の子どもと親しくな…

エイスグレイド2 ベスト・フレンズ・エクソシズム (2022年製作の映画)

5.0 エイスグレイドのエルシーフィッシャーの近影がエリオットペイジのようになっている。撮影用の変身なのかもしれないが、転換したようにも見える。自認するpronounsはthey/themだそうで外観上はすでに女子の面影はない。(they/themは一般的には複数形だ…

ファイトクラブつくろうぜ ボトムス ~最底で最強?な私たち~ (2023年製作の映画 )

3.7 PJとジェシーはふたりともレズビアンだが親友。おたがいにチアリーダーの子に欲情し、やりたいと思っているが、彼女らは映画タイトルどおりスクールカーストの底辺でうごめいているので、護身クラブをつくって気を惹こうとする。 フットボールチームのバ…

ふんぬか、ふんどか 君よ憤怒の河を渉れ (1976年製作の映画)

3.2 昔わが家にはじめてきたVHSビデオデッキはフロントローディングではなくアッパーマウントだった。それを使って東京12チャンネルで平日の14時からやっていたようなマイナー映画をいっぱい録画した。 VHSビデオレンタルの勃興期には、ビデオを借りることで…